【Vol.18】東京湾で「湾岸戦争」の様相
2013年09月20日
今週、2つのシネコンについて発表があった。イオンシネマ幕張新都心(千葉県千葉市)とTOHOシネマズららぽーと船橋(同県船橋市)。いずれも東京湾にほど近く、新たな競合関係が生まれることになる。周辺の他館も含めて、ある人は「湾岸戦争」だと表現していた。
ここで改めて、2サイトの情報を整理しておきたい。
イオンシネマ幕張新都心は、12月20日(金)にグランドオープンする。イオングループの旗艦店「イオンモール幕張新都心」の中に、10スクリーン、約1600席を構える。
設備面では、同社独自の映像・音響システム「ウルティラ」にドルビーアトモスを加えてパワーアップさせる。つまり大画面に映し出すハイクオリティな映像を、臨場感抜群の3D音響で楽しめることになる。動く座席「D-BOX」も2スクリーンに導入する。年間動員目標は60万人だ。
一方のTOHOシネマズららぽーと船橋は、11月22日(金)にグランドオープン。TOHOシネマズは従来ららぽーとTOKYO-BAYの南館で営業してきたが、現在建て替え中の西館に移転開業する。規模は10スクリーン、約1900席。
TOHOシネマズは船橋のオープンにあたり、独自規格の大スクリーン「TCX(TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN)」を開発した。船橋に導入するTCXのスクリーンサイズは約19m×10m。TCXに加え、幕張新都心と同様、ドルビーアトモスの音響設備を導入する。
この2サイトは期せずして、(1)自社独自の巨大スクリーン、(2)ドルビーアトモスの3D音響、という共通点を持つことになった。どちらが優れているかはまだ分からないが、一般の観客が事前に知り得る設備に関する情報としては、イオンシネマにはD-BOXがある、TOHOシネマズは座席数が多い、今のところそのくらいのものだ。
今後2サイトにおいて、番組や設備、サービス面でどれだけの差別化がなされるかは注目だ。その反面、ショッピングセンター同士の総力戦であるという視点も、きっちり押さえておきたい。
イオンモールの発表は9月19日だった。対する三井不動産(ららぽーと)の発表は、その前日18日のこと。お互いに猛烈に意識している。熾烈な戦いは、もう始まっている。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。