【Vol.17】プレシディオ奮起、『サイド…』上振れ
2013年09月12日
プレシディオ配給『サイド・エフェクト』が9月6日(金)から全国55館で公開され、好調な出足となった。8日(日)までの3日間で動員1万7201人、興行収入2209万5400円。この数字だけをみると興行的に爆発したわけではなく、「好調」というよりもむしろ「堅調」という言い方が妥当かもしれない。
ただ、ここでは社内予算を大きくクリアしているという意味で、あえて「好調」という言葉を使用した。7~8日の土日2日間は予算対比120%を大きく上回り、メイン館のTOHOシネマズみゆき座のほか、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿シネマカリテで満席となる回があった。全国的にレディースデーとなった11日(水)は予算対比130%台に達し、シネマカリテでは満席が2回出た。12日(木)と13日(金)の2日間を残して、すでに1週目の予算を達成したというから、かなり上振れしたということだ。
今週末には『劇場版 ATARU』『許されざる者』『ウルヴァリン:SAMURAI』などの大型作品の公開が控える。また、TOHOシネマズ中心の編成ということでは『鷹の爪』シリーズ最新作もある。『サイド・エフェクト』は上映回数が少なくなる中で、どれだけ数字を維持できるかが、興収1億円に向けた重要なポイントだ。9月に2回ある3連休が、興行にとって好材料ではある。
『サイド・エフェクト』はヒッチコックばりのサスペンスで、最後まで目が離せない。社会性もある。ジュード・ロウ、ルーニー・マーラら俳優もいい。映画ファンが多数来場しているのも、納得ができる。
また、引退宣言をしたスティーブン・ソダーバーグ監督にとって、最後の劇場映画でもある。ちなみに、11月公開のソダーバーグ監督作『恋するリベラーチェ』の撮影は、『サイド・エフェクト』の後に行われた。ただし『恋するリベラーチェ』は本国アメリカではテレビ映画として放送され、劇場公開は海外のみ。劇場用に作ったという意味で、『サイド・エフェクト』がソダーバーグの最後の作品となるようだ。
さて、プレシディオ。今年期待を込めた『ジャッキー・コーガン』(4月)、『インポッシブル』(6月)が厳しい興行となった。しかし、そこから奮起し、『サイレントヒル リベレーション3D』(7月)をスマッシュヒットさせ、二次利用も含めて、パートナーのハピネットともども利益をしっかり確保できた模様。そして、この9月の『サイド・エフェクト』の予想を超える入り。
今年の“負け”は確かに大きかったが、必ず取り戻すんだ―。そんな心意気を感じる。
様々な事業に挑戦する同社だが、映画配給事業が根幹であることは変わらない。10月から新しい年度が始まるが、トロントやAFMの成果も含めて、どんなラインナップを組んでくるのか。来年度の展開を今から楽しみにしている。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。