新潟記念、府中牝馬Sを制し、いぶし銀な活躍を見せた名牝ヤマニンアラバスタが、8月7日に死亡していたと報道がありました。
死因はがん。メラノーマ(悪性黒色腫)という皮膚がんが全身に転移していたそうです。個人的には、馬券の相性は良くなかったものの、馬券を買うべきか消すべきか悩むことの多い馬だったので、ちょっと思い入れのあった1頭。非常に残念です。
アラバスタのような芦毛(白い)の馬ががんになりやすいのは、競馬ファンの間ではけっこう有名なんです。あのオグリキャップもメラノーマにかかっていました。
アラバスタは抗がん剤治療を行っていたとのこと。馬にも抗がん剤治療をすることは私も初めて知りました。産道にも転移していて、流産や死産ばかりだったそうです。ニュースの字面を追うだけでも悲しくなってしまいます。
メラノーマに関しては、数年前に朝日新聞でも取り上げられていました。その一部を引用します。芦毛にがんが多いことは経験的に知られていたものの、スウェーデンの研究者によって、科学的にもそれが証明されたというもの。
「研究チームが欧州の14系統から800頭以上の馬を調べたところ、芦毛の馬の25番染色体に、DNAの一部が重複する変異があった。この変異で、メラニン色素をつくる細胞にかかわる二つの遺伝子の働きが促され、体毛の色素が抜ける。一方で、細胞の増殖も促され、悪性黒色腫(メラノーマ)になってがん化する。15歳を超えた馬の7~8割に黒色腫ができていた」
7~8割に黒色腫があるのですから、どの芦毛馬もメラノーマになってもおかしくない状況ですね。芦毛の馬というのは人気がありますし、年をとればとるほど白くなって美しくなりますが、一方で危険な宿命も背負っているんですね。ちなみに、アラバスタの母方の曽祖父シービークロスもメラノーマだったようです。
アラバスタは1頭だけ子供を残しました。「ヤマニンアドーレ」という牝馬で、今は現役の競走馬。まだ1勝もしていません。例え勝てずに引退しても、アラバスタの忘れ形見として大切に牧場で繁殖入りすることでしょうが、何とかターフで一花咲かせてほしいですね。
さて、金曜日なので恒例の競馬予想。今週は新潟記念。正直なところ、魅力的な馬が少ない上、週末は雨予報なので決めかねています。ただ、気になっているのはファタモルガーナ。戦績を見ると、ある程度荒れた馬場でもやれそうな感じですし、新潟実績もあり。重賞ではワンパンチ足りませんが、5ヵ月ぶりの七夕賞を6着と無難にまとめ、叩き2走目の今回は走り頃でしょう。