競馬や映画のことばかり書いている当欄ですが、今日はちょっと趣向を変えて「絵本」の話。
子供がまだ幼いので、私もちょくちょく絵本を読みます。映画と同様、もちろん絵本にも当たり外れがあるのですが、「これは凄い!」というものに最近出会ったのでご紹介。
「セミたちの夏」という絵本をご存じでしょうか。 ※コチラを参照(ためし読みあり)
小学館が出している、図鑑と絵本を融合した「図鑑NEO」というシリーズの1つで、昨年の夏に発売されました。
この「セミたちの夏」は、図鑑と同じく美しい写真を載せつつ、セミの一生を絵本仕立てで描くもの。
まず、その写真が素晴らしい。セミが青空を力強く羽ばたく写真をはじめ、卵の状態、幼虫の状態、そして夜に地中から這い出し羽化する写真。どれもこれも見入ってしまいます。
そしてその物語。映画界でも今は「実話をもとにした作品は当たる」と言われていますが、「セミたちの夏」も、セミの一生を淡々と、しかもわかりやすいストーリーで解説するノンフィクション。
「淡々と」というと退屈に聞こえますが、長い間地中で過ごし、最後に地上で成虫となり、その一生を終える展開があまりにドラマチックなため、変な付け足しはむしろ不要。事実をそのまま伝えることで、その凄みが際立ちます。
それと同時に、作者であり、「群馬県立ぐんま昆虫の森」に務める筒井学さんの知識と、魅力を人に伝えるテクニック、そして何より「セミへの愛」を強く感じる、素敵な内容なんです。読んだあとはすっかり感動してしまいました。もちろん子供もすっかりお気に入り。買ってきた妻に「この絵本すごいわ」と話すと、「でしょ!」と熱っぽく購入の経緯を語ってくれました。
気になった方、ぜひ読んでみてください。興味深くて面白いですよ。
余談ですが、同じ作者でカマキリ版も出ているんです。実はインパクトではセミよりこっちの方が上。ただ、カマキリの人生が壮絶過ぎるんです。交尾中にオスがメスに食べられる…。聞いたことはあっても、実際にビジュアルで見ると衝撃です。これを読むと、ちょっと子供はビックリするんじゃないでしょうか。まず入りはセミの方がいいかなと思います。