【Vol.11】シネマイクスピアリの奮闘をみて
2013年07月10日
7日・日曜日、シネマイクスピアリへ。舞浜駅を降りると、猛暑だというのに駅前は人、人、人。東京ディズニーリゾートのサマーシーズンは、今年も全国から多くの来場者を集めているようだ。
さて、この日の目的は、シネマイクスピアリで2回目となる映画コメンテーター、LiLiCoのイベント。昨年12月の1回目にも驚いたけれど、会場の熱気がすごい。今回も190席は満員御礼。夏の暑さのせいか、あるいは、2回目でイベントに慣れたせいか、LiLiCoも、劇場スタッフも、観客も、とにかく最初から最後まで熱を発していた。
イベントは、映画『ロック・オブ・エイジズ』の上映と、LiLiCoのトークで構成。イベントの模様は日刊文化通信速報(映画版)の7月9日付に掲載したので、そちらを見ていただきたく、今回はそれ以外の話を。
今回MCを務めたのが、同劇場の番組編成担当の杉山さん。MCも2回目なので、だいぶ熟(こな)れてきて、LiLiCoとの掛け合いに大いに笑わせてもらった。杉山さんは英国人俳優ベネディクト・カンバーバッチの熱狂的なファンだが、彼の出演する『スター・トレック イントゥ・ダークネス』に話が及ぶと、声のトーンが一気に上がっていたのが微笑ましかった。杉山さんご自身も公言していたが、まさに今は、カンバーバッチの来日(7月15日~)に完全に気持ちを集中させていることだろうと推測する。
LiLiCoが、同館スタッフの応対を褒めていたのが印象的でもあった。LiLiCoが自ら次回のイベント開催を話題にし、12月8日(仮)に行うことをその場で決めてしまったのは、象徴的なエピソードだと言える。好きでなかったら、こういうことにはならないはずだ。
前日6日に『モンスターズ・ユニバーシティ』が全国的に大ヒットスタートを切っていたが、なんとシネマイクスピアリは初日の数字が全国1位だった。東京ディズニーリゾートの隣だから当たり前かというと、そんなに簡単なことではない。1位は久しぶりとのことだった。そんな同館で今、ひときわ目を引くのが『モンスターズ・ユニバーシティ』を使った館内の装飾。同作を見た人も、見ていない人も装飾の前で立ち止まり、記念撮影する姿が後を絶たない。
シネマイクスピアリの前身は、AMCイクスピアリ16。ユナイテッド・シネマがAMCを買収する際は、諸事情あり売買契約から切り離され、オリエンタルランド/イクスピアリが自ら経営していくことになった。シネコン各社は本社主導で物事を決めていくのが常道だが、シネマイクスピアリのスタッフは1ヶ所しかない映画館だからこそ、OLCグループという縛りはありつつも、かなり自由度を持って映画館の運営に携わっている。
シネコン再編をめぐる動きが目立つ昨今、シネマイクスピアリのような独立系の奮闘ぶりも忘れてはいけない。自省の念を込めて、そう思う。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。