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【Vol.9】『100回泣くこと』待ちに待ったヒット

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.9】『100回泣くこと』待ちに待ったヒット

2013年06月26日
 ショウゲート配給『100回泣くこと』(廣木隆一監督)が、22日に全国223館で公開され、好調な出足となりました。2日間で動員11万9千人、興収1億5461万円。スクリーンアベレージは69万3千円です。

 5月、6月公開の主な邦画作品と比較してみます。封切時の興行成績(2日間)は、以下のとおりです。

▼『奇跡のリンゴ』(6月8日公開、305館)動員10万7千人、興収1億2605万円
▼『リアル ~完全なる首長竜の日~』(6月1日公開、270館)動員9万6千人、興収1億0801万円
▼『クロユリ団地』(5月18日公開、162館)動員11万8千人、興収1億5342万円
▼『県庁おもてなし課』(5月11日公開、293館)動員9万8千人、興収1億2439万円
▼『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(5月11日公開、305館)動員11万7千人、興収1億5466万円

 興収では『クロユリ団地』『探偵はBARにいる2』と同等。スクリーンアベレージは100万円に近かった『クロユリ団地』に次ぐ数字となりました。

 好調の要因の一つは、主演の関ジャニ∞・大倉忠義の主演作であることをアピールし、そのファン層を確実に取り込んだこと。また、物語そのものの分かり易さもあります。公開前のリサーチで認知度、意欲度が高かったティーンと20代の女性が、劇場に足を運びました。宣伝サイドが届けたかった層に、しっかりと伝わった結果だろうと思われます。

 版元の小学館の販促効果も大きかったようです。イチオシの文庫という位置づけで、書店等での展開も目立ちました。映画化発表時点は50万部ほどでしたが、現在は80万部を超えています。

 ショウゲートは今年、2月に『きいろいゾウ』『横道世之介』、3月に『ボクたちの交換日記』、4月に『桜、ふたたびの加奈子』と、期待値の高い邦画作品を相次いで公開しましたが、十分な成績を上げられなかったのが実際のところです。そんな中での『100回泣くこと』、待ちに待ったスマッシュヒットとなりました。

 今後どこまで数字が伸びるのか。レディースデイの稼働具合、2週目の落ち方、今後公開される夏休み映画の影響などが、注目されます。好調をキープしようと、主演・大倉の全国舞台挨拶巡りも始まりました。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





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