【Vol.8】高校生料金1000円をめぐる動き
2013年06月18日
映画館が、高校生の映画鑑賞料金を従来の1500円から1000円に値下げする動きが相次いでいます。
4月にTOHOシネマズが発表し、TOHOシネマズ名の58劇場とシネマメディアージュで6月1日から実施されました。つい先日は、松竹マルチプレックスシアターズ(SMT)が同様に高校生の料金を500円下げて、1000円にすると発表しました。6月29日から10月31日までの期間限定で、MOVIX名の22劇場、新宿と丸の内の両ピカデリー、東劇、神戸国際松竹で行います。ちなみに、TOHOシネマズは期限を設けていません。
両社の狙いは共通していて、高校生がもっと映画館に足を運びやすい料金にして、将来の映画ファンを育成することです。TOHOシネマズは、2011年4月から11月まで7劇場で新料金をテスト導入。その結果を受けて、基本的にはテスト前の料金に戻しましたが、値下げ効果(1500円→1000円)の大きかった高校生については、映画ファン育成の観点も含めて、2011年12月以降も7劇場で料金1000円を継続してきました。それから1年半が経過し、いよいよ今年6月1日から全国に一斉導入したという流れになります。
今回のTOHOシネマズ、SMT以外の会社はどうなのか。佐々木興業(シネマサンシャイン)は2社に先行して、今年3月1日から9月30日まで高校生の料金を1000円にしています(池袋を除く)。コロナ(コロナシネマワールド)は、6月15日から高校生1000円をスタートさせました(期限なし)。他の興行大手は従来の料金を維持していますが、今後どうなるのでしょうか。全社一斉ではなくても、競合館に揃えるという形で、局地的に1000円にしていく動きは出てくるかもしれません。
こうしたシネコン中心の一連の動きとは別でしょうが、金沢のミニシアター、シネモンドは4月27日から料金変更を行い、高校生以下は500円となりました。
料金をめぐっては、いつも大きな話題となります。鑑賞料金を決めるのは、あくまで映画館ですが、配給会社にとってもナーバスにならざるを得ません。曜日や時間帯、性別や会員向けなど各社各様の料金サービスがある中で、高校生料金1000円の動きには注目していきます。
そういえば、数年前まで「高校生友情プライス」がありましたが、“3人以上”という条件がネックになり効果が出ず、終了しました(一部の映画館では継続中)。蛇足ですが、消費増税への対応も必要になりますね。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。