昨年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した映画『もうひとりの息子』(配給ムヴィオラ)が、晩秋、シネスイッチ銀座ほかで公開されることが決まりました。
この作品は、自分が両親の実の子供ではなく、出生時に別の家族の息子とすり替わっていたことを知ることで、アイデンティティ、価値観、そして信念を見つめ直すことを余儀なくされる物語。監督はロレーヌ・レヴィ、主演はエマニュエル・ドゥヴォス。
映画祭では、グランプリのほかにも「監督賞」を受賞しました。式に出席したレヴィ監督は、まず監督賞の受賞で登壇して、俳優・スタッフ・プロデューサーらにひたすら感謝の意を述べていました。ところが、今度はグランプリの受賞で再び登壇することになり、(さっき皆に感謝の言葉言っちゃったしな~)という雰囲気を漂わせながら、「脚本家のナタリー・サウジョンとノアム・フィトゥッシにも感謝を捧げます」と思い出したように話していたのがちょっと面白かったです。受賞結果を見ると、韓国映画の『未熟な犯罪者』と、この『もうひとりの息子』の2強だった模様で、私もこの2作品には期待しています。
東京国際映画祭のグランプリ作品と言えば、近年は興行的に日の目を見ないことが多かったですが、11年のグランプリ作品『最強のふたり』が昨年メガヒットとなり、ようやく存在感を示すことができました。くしくも『もうひとりの息子』は同じフランス映画。連続でヒットに結びつけ、東京国際映画祭の注目度がより高まることを期待したいです。