アイルランド出身の野獣系ロック・グループのザ・ウォンテッドが日本でのアルバム・デビューに合わせて初来日することになった。スティービー・ワンダーや女優でシンガーのジェニファー・ロペスなど、大物アーティストの中でも彼らを絶賛する声が多く、一部では同じアイルランド出身の新人バンド、ワン・ダイレクション(略称:1D)と比較する人も…。いずれにしても、UKでは「不良っぽさ、やんちゃなイメージは、(出身地の同じ)ザ・ローリングストーンズを彷彿させる」と言われているだけに、日本でも新たな旋風を巻き起こすかもしれない――。
ウォンデッドは09年に別々のオーディションを受けたが、縁あって結成されたイケメン5人組グループだ。11年にUKで発売されたデビュー・シングル「オール・タイム・ロウ」が全英チャート初登場1位にランクされ一気に注目された。UKでのアリーナツアーは全て即完するほどで、その後、全米にも進出しジャスティン・ビーバーのオープニング・アクトを務めている。
昨秋のことだった。ロサンゼルスの郊外で彼らのステージを観た。
この時は「アイドル的な人気」と聞かされていたのだが、これが結構、泥臭い感じだった。人気、注目度は分からないがアイドル的なイメージは全くなく、冒頭に記した野獣系という代名詞の方がピッタリだった!?
メーカーの宣伝文句に「ワン・ダイレクションがビートルズと言うなら、彼らはストーンズ」と書いてあったが、バンドのイメージは、確かにストーンズに近いのかもしれない。しかも、新人バンドながらも今や「世界のポップ界に大きな影響力を与える存在になっている」(米国の音楽関係者)というから注目したい。
そのウォンテッドが、ついに日本に上陸する。5月8日にスペシャル・アルバム「ザ・ウォンテッドー最強盤」を発売したが、その後、18日にはプロモーションで初来日することになった。メンバーの1人が体調を崩していることから「全員」ということではないようだが「日本に行きたい」と熱望しているようだ。CDセールスが伸び悩む昨今、洋楽に関してもセールスも冷え込んでいるのが現実。正直言ってメーカーも宣伝に予算をかけなくなった。さらに、あのEMIミュージックもユニバーサル・ミュージックに吸収され、世界の一大レーベルだったものが一レコード・メーカーの単なる一部門に過ぎなくなってしまった。そう言った中でワン・ダイレクションが評判がよかったからといって、ウォンテッドも…という流れにはならない。もっとも英ヴァージンが主催するアワードでは、人気が先行していた同じイングランド出身のロック・グループ、ワン・ダイレクションを押え「ベストグループ賞」を受賞するなど、熾烈な人気争いを展開している。そう考えると新たな彼らが旋風を巻き起こす可能性もないわけじゃない。今回のアルバム収録曲の中で全米3位にランクされた「グラッド・ユー・ケイム」は日本テレビ系「ザ・世界仰天ニュース」のエンディング曲に起用され日本でも徐々にだが評判も高まっている。
これも冒頭でジェニファー・ロペスやスティービー・ワンダーなどが彼らの才能に大絶賛だったと記したが「スポーツ界でもボクシングのマイク・タイソンも大ファンで昨年、ウォンデッドがUSツアーでラスベガスを訪れた時は、自らマネジメントサイドに連絡を取りメンバーのラスベガス案内を申し出たほどでした。とにかく、彼らのやんちゃなイメージがウケている」(関係者)。
一応、注目すべき存在であることは確かだろう…。
(渡邉裕二)