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オルフェ、コディーノの乗り替わりについて (vol.16)

平池記者の「競馬ときどき映画」

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オルフェ、コディーノの乗り替わりについて (vol.16)

2013年05月08日

 先週のNHKマイルカップはレッドアリオン本命で失敗。ゲート内でピョコーンと立ちあがった時点で終わってしまいました…。最後は4着まで追い上げているだけに、何ともやりきれない気持ちになりました。

 さて、先週はジョッキーの起用に関して2つの大きな動きがありました。一つは、オルフェーヴルの凱旋門賞(仏)での鞍上がスミヨン騎手に決定したもの。もう一つは、ダービーの有力馬コディーノの鞍上が横山典騎手からウィリアムズ騎手に替わったものです。

 近年の日本競馬界における、外国人騎手重用傾向の象徴的な出来事だったと思います。案の定、ネット上は賛否両論で盛り上がっていましたね。


 個人的には、この乗り替わりはどちらも賛成。…というよりも、「まあ当然よね」という印象です。

 まずオルフェーヴルに関して。主戦は池添騎手ですが、ご存じの通り昨年の凱旋門賞ではスミヨン騎手に乗り替わりました。そして今年も、国内は池添騎手、凱旋門はスミヨン騎手という棲み分けです。

 池添騎手は、オルフェのために現在フランスで修業中。にも関わらず、結局今年も凱旋門には乗れないということで、ネットでは「かわいそう!」という表現がたくさん並んでいました。

 オルフェーヴルの凱旋門挑戦は、正直なところ、騎手一人の挑戦ではないと思います。約45年前、日本からスピードシンボリが挑戦して以来、日本の名馬と競馬人が幾度となく挑戦し続け、惨敗を続けながらも、技術やノウハウを蓄積し、強いサラブレッドを作るべく切磋琢磨してきた、日本競馬界の(現時点での)集大成がオルフェの凱旋門挑戦だと思います。

 その中で、陣営が「ベスト」と考えたのが、フランスを拠点とするスミヨン騎手の起用です。もちろん、日本人騎手で勝つ方がドラマチックだとは思いますが、経験や技術で勝る騎手を起用し、万全の状態で挑戦することが、このオルフェの挑戦には何よりも大切。ダビスタじゃないので、オルフェのように勝てるチャンスは何年に1回もありません。感情論よりも、まずは「勝つ」ことが最優先。

 今は、日本競馬界全体でオルフェを応援する時でしょう。池添騎手も悔しさは胸の内に留めて、オルフェの次走・宝塚記念をしっかりと勝ち、表彰台で胸を張って「あとはスミヨン騎手に任せます!」くらいのコメントをしてほしいと思います。そして、非情な乗り替わりを決断した以上、陣営には何としてもオルフェを凱旋門で勝たせてほしいと思います。


 もう一つの乗り替わり、コディーノについても、日本ダービーを勝つためには納得のものです。3戦3勝で「クラシック最有力候補」を謳われた同馬も、気がつけば3連敗。主役は完全にロゴタイプに奪われてしまいました。

 朝日杯で敗れて以来、何となくリズムが悪くなってしまった印象。横山典騎手は日本を代表する名騎手ですが、コディーノについては、100%能力を発揮させることができているのか?と疑問符が付きます。相性はありますからね。ハーツクライの例もあります。正直、皐月賞はロゴタイプに完敗でした。このままではダービーでの逆転は難しいのでは…という見方が多いと思います。

 そこで、勝負強いウィリアムズ騎手への乗り替わりは、いたって自然な流れでしょう。積極的な騎乗で頼れる騎手です(ちょっと早仕掛けな面もありますが)。コディーノの新たな一面を引き出すことができるかもしれません。この乗り替わりにより、個人的には「逆転の芽が出てきたかもしれない」という印象を持ちました。陣営が期待するところもそこでしょう。

 騎手の乗り替わりは今も昔もあったこと。ただ、最近は国籍の違いが出てきたに過ぎません。むしろ、世界のトップジョッキーの腕を日本国内で見られるのですから、ファンにとってはラッキーなはず。「今はすぐ外国人に乗り替わるからドラマがない」という意見もありますが、外国のトップ騎手が流入し、よりレースのレベルが高くなった今だからこそ、NHKマイルカップのマイネルホウオウ&柴田騎手のような「本当のドラマ」が映えるのではないでしょうか。



平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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