長良グループの会長・長良じゅん氏(本名・神林義忠=享年74歳)の本葬が22日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれた。この日は、朝からあいにくの雨。「涙雨」とか「無情の雨」などと言う人もいたが、参列者は5000人を超えた。その列は青山墓地まで延々と続いた。
戒名は「泰清院殿慈潤徳峰義忠大居士」。
義理人情深く、慈悲深い、尊敬され大いなる存在となった…という意味だという。
長良グループは、中村玉緒をはじめ氷川きよし、水森かおりら大物演歌歌手が所属する芸能プロダクション。
長良会長は「芸能界のドン」「演歌界のドン」として知られ、かつては雪村いづみ、弘田三枝子、さらには故・水原弘さんなどのマネジャーをやり、独立(1964年)後は演歌を中心に、俳優なども手掛けてきた。勝新太郎さんを始め、梅宮辰夫や中村玉緒、グッチ裕三らを育てた。もちろん美空ひばりさんとも関係が深かった。
先ごろ(4月8日)に63歳で亡くなった安岡力也さんなんかも長良会長が面倒を見ていた。「力也さんの闘病生活では治療費や入院費の全てを会長が見ていた…」と、ある大物俳優は吐露していた。
現在、長良グループには中村玉緒、山川豊、田川寿美、氷川きよし、水森かおり、グッチ裕三、さらにはAKB48から初めて出たと言う演歌歌手・岩佐美咲なんかも所属している。まさに、芸能界の中心的な存在だったことは言うまでもない。
長良会長は、滞在中の米ハワイ・ホノルル郊外の名門ゴルフ場「ワイアラエカントリークラブ」で5月2日午後0時30分(日本時間=5月3日午前7時30分)に事故のため亡くなった。
ゴルフのプレー中、会長が自らカートを運転していて、ブレーキとアクセルを間違え、急発進したカートが小川に突っ込んでしまった…と言われている。普段、車を運転しない会長だけに、あるいはそういった初歩的なミスがあったのかもしれない…。同乗していた34歳の男性も足を骨折するという大事故だった。あるハワイ在住の芸能関係者によると、今回の事故は17番ホール(par4)のTeeグランドから約170ヤード付近を流れる小川で起こったと言う。
会長が運転するカートが突っ込んだ小川は、コースを横切る小川。しかし、ホールは真っ平らで見通しもよく、これまで事故は1回も起こったことがなかったという。
もっとも小川と言っても、殆ど水などは流れてなかったという。が、その深さは2.5mあって両側は垂直のコンクリート壁になっていた。
コース内で、その小川には橋が左右に2本かかっていた。関係者によれば、今回の事故は「その左側の橋の近くで転落した」という。
ワイアラエカントリークラブは世界でも屈指の名門ゴルフクラブ。「ソニークラシック」なども開催されていた。それだけに、会員になるには審査が厳しく日本人でもメンバーになるのは大変なことだという。長良会長は10年間近く高額な会費を払い続けたことから信用が得られ昨年、ようやく正式メンバーになった。それだけに無念だったかもしれない。
いずれにしても、人生、何が起こるかわからないものである。
業界内では未だに「あの長良会長が…」と言う声があるほどだ。
会長の亡き後は長男で同グループの代表を務める神林義弘氏が舵取りをしていくことになるが、会長の死は日本の演歌界にも暗い影を落としたとも言える。
(渡邉裕二)