この4月14、15日(土、日)は、今年一番の成績を記録したシネコンが多かった。これは、邦画、洋画の新作4本が登場したのが大きかった。ただ例によって、シネコンの営業担当者からは、あまり威勢のいい話は聞かれなかった。東宝の盛り上がりはいいとして、洋画興行の現状に、今後に大きな変化を引き起こしそうな兆候がなかったからである。
▽「名探偵コナン 11人目のストライカー」=動員54万0975人・興収6億2974万0550円(14、15日)351スクリーン
▽「バトルシップ」=29万8215人・3億6400万4500円(13~15日)545スクリーン
▽「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」=17万4672人・1億9531万5600円(14、15日)330スクリーン
▽「ジョン・カーター」=12万9306人・1億8269万5400円(13~15日)693スクリーン
この4本の新作はそれぞれ、興行ランキングの1、2、4、5位を占めた(14、15日、興行通信)。特筆すべきは、「名探偵コナン~」の絶好調の成績で、6億円超えはたいしたものである。
これまでシリーズ最高成績を記録した「名探偵コナン 漆黒の追跡者」(最終35億円、2009年)のスタートを上回る。題材にサッカーを取り入れ、若い層にアピールできた面が大きい。とともに、文句なく楽しませてくれるシリーズの安全パイ的な要素が、意外に広い層の観客の支持を受けたということだろう。
興行における安全パイ。この重要性というか、習慣性は、今さら言うまでもない。洋画に “引き” が弱いと、邦画の安全パイに目が行く。「映画ドラえもん~」は、今週中に35億円を超える。洋画への関心低下と、裏腹な現象が今の映画興行に起きていると言うべきか。
その洋画だが、「バトルシップ」は、予想よりいいスタート成績である。「トランスフォーマー」のテイストを前面に出した宣伝は、どちらに転ぶか微妙なところもあったが、一点突破的な宣伝効果は、一定程度あったと見ていい。ただ、今の洋画の難しいところは、2週目、3週目以降の持続力が弱いことだ。どこまで持ちこたえるか。その点にも、注目していきたい。
「ジョン・カーター」は、600スクリーン超で、この成績だから、大変だろう。単純に言って、中身のわからなさが、最後まで尾を引いた。わからなさは、安全パイの対極にある。だから、十分に予想されたスタートであった。
(大高宏雄)