富士フイルム(映画部)と報映産業(映画営業部)は28日、角川大映撮影所内で山本英夫氏(JSC)が企画・演出・撮影を担当した映像作品「道標 Milestone」の研究上映会を実施した。
今回の研究上映会は、映画館の上映システムやTV、DVDなど映像業界の大半がデジタル化するなか、フィルムの持つ「表現力」「可能性」をテーマに、山本氏が同じシチュエーションで撮影した映像作品「道標~」のフィルム作品(上映時間:16分)とデジタル作品(ALEXA、RED-ONEのデジタル撮影)を比較上映したもの。
当日は4回上映。午後1時からの第1回は映画プロデューサー中心で、午後3時(第2回)、5時(第3回)、6時30分(第4回)はキャメラマンが中心に鑑賞。
筆者は当日の第2回目に見たが、フィルムとデジタルの“違い”を感じることがなかった。それほどデジタルの映像表現力が上回って来ているのだろうが、「条件が悪くなればなるほどフィルムが頑張っていたね」という“プロ”のキャメラマンからの声も聞かれ、改めてフィルムの持つ表現力の高さをアピールする場ともなっていた。
また、こんな声も聞かれた。
「デジタル化が進むことは、自分達キャメラマンが失職することだ」と思っていたというのである。
確かにデジタル撮影は、撮影監督と2名程のアシスタントというフィルムの半分以下のスタッフ編成でよく、制作現場でのコスト削減が図られ、映画の製作・配給・興行という図式の中でデジタル化の流れを押し止めることはできないであろう。
しかし、木村大作氏のようにフィルムにこだわり、フィルムの有意性を認める人が居ることもまた、事実である。
山本氏は、同作品のパンフレットに次の様な一文(概略)を寄せている。
「フィルムもデジタルも映画作りの道具です。当たり前の事ですが、大切なのはそれを使う人たちの考え方であり、技術であり、感性ではないでしょうか。フィルムとデジタルの選択肢の中で、改めてその事を見つめ直す時期がきているのだと思います。」
(代表取締役社長:指田 洋)