今年の春興行の大どころの作品が出揃った。この3月17、18日は、各シネコンとも数字をかなり伸ばし、久しぶりに賑わいを見せた。ただこれは、あくまで昨年と比較しての賑わいであり、まだまだ本調子ではないとの劇場関係者の意見も多い。
興行通信による映画興行ランキングを見ると、この土日(17、18日)の成績では、何と8位までの作品が興収1億円を超えている。これは、かなり珍しい事態だと言える。映画興行の “底上げ” ができている証であり、これは比較的高レベルの動員で観客が分散したことを表す。以下、大雑把な概況を。
新作トップは、「僕等がいた 前篇」である。2日間で、動員22万7930人・興収2億9531万3100円を記録。最終で20億円が視野に入り、25億円前後まで伸ばす可能性もある。人気コミックの支持者の多さが、そのまま興行に反映された形だ。
新作では、「長ぐつをはいたネコ」が、11万7783人・1億6805万5050円(17、18日)。「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」が、13万4447人・1億5771万1300円(16~18日)。「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス 3D」が、10万6909人・1億7299万4700円(16~18日)だった。
「長ぐつをはいたネコ」は、同じ3DCGアニメの「シュレック フォーエバー」(最終10億)の140%と健闘。猫が主人公ということが大きかった。ファミリー層、映画ファン、そして “猫ファン” と、従来のドリームワークスCGアニメとは、一味違った展開になった。
「マーガレット~」は、「私の中のあなた」(最終8億円)の112.5%。40代以上がメインの客層だが、その客層から、平日での興行はかなり安定感があるとみられる。
「スター・ウォーズ~」は、617スクリーンという拡大公開からすると、物足りないスタートである。ここは3D版限定にして、ギュッと絞り込んだ劇場展開のほうがよかったのではないか。結果論ではなくて。
ランキング外ではあるが、アニメの「ストライクウィッチ―ズ」は、18スクリーンという全くの限定公開ながら、2万5832人・4042万5700円を記録するヒットとなった。「劇場版 そらのおとしもの」(10スクリーン)の184.6%。1スクリーンでは220万円という素晴らしいもので、満席が続いた角川シネマ新宿では、初日動員新記録(1767人)を樹立した。
(大高宏雄)