今年9月10日に創立100周年を迎える日活(株)(代表:佐藤直樹)では、記念映画をはじめとした様々な記念事業を展開する。
このため、同社では社内に鳥羽乾二郎取締役映像事業部門副部門長を委員長とする「100周年実行委員会」(柴田雄幸国際事業部門など36名)を組成し、検討を重ねている。
記念事業期間は、2011年9月から2013年8月までの2年間。すでに昨年秋には海外での特集上映をスタート。10月には米国のリンカーンセンターで「ビルマの竪琴」(市川崑/'56)など37作品をプレミア上映し、その後、フランス・ナント、パリ・シネマテークへと巡回。
また、日活の代表作の1作である、川島雄三監督「幕末太陽傳」('57)のデジタル修復版を制作し、テアトル新宿(昨年12月23日公開)など全国50館で公開、旧作の再上映としては異例の興行成績を上げている。
さらに、国内での旧作の特集上映として、「生きつづけるロマンポルノ」(特集上映)を初夏にユーロスペースで、「日活映画100年の青春」を夏にヒューマントラスト有楽町でそれぞれ上映する。
記念映画の製作は、他社に配給依託する大作と中規模作品が4~5本、その内、東宝配給の「進撃の巨人」(中島哲也監督)とショウゲート配給「横道世之介」(沖田修一監督)がそれぞれ決まっており、日活が配給する小規模作品も4~5本製作、それぞれ年内に撮影し、来年公開の運びとなる。
製作では、海外のプロデューサーとのジョイント・ベンチャーも進行中。日活作品のリメイクを含む1~2本の企画が進められており、実現すれば大きな話題作となりそうである。
この他、日活ゆかりの俳優による手型モニュメントや50年振りの発行となる社史「日活100年史」の編纂 (2013年8月発行)を実施する。
また、100周年を祝う祝賀パーティ等は、日活の歴史の中で会社更生法適用となり様々な業界に迷惑をかけたことがあることと現在の社会情勢を踏まえて開催しない方針。ただ、撮影所で細やかなセレモニーは行う予定だ。
映画会社の中では松竹が最も古く1995年に創業百年を向かえ、歌舞伎座と松竹セントラル1での記念式典や社史「百年史」を発行した。
日活はもともと1912年にエム・パテー商会(梅屋庄吉代表)、吉澤商店、横田商会、福宝堂の4社が合併、日本活動写真(株)としてスタートしたことに始まるが、合併の仕掛人である梅屋庄吉が中国で写真館を経営し、辛亥革命を成し遂げた孫文に現在の貨幣価格で1兆円とも2兆円ともいう資金を提供したというエピソードはまことに興味深く、日活が発足する経緯を映画化したら面白いのではないかと思う。
(代表取締役社長:指田 洋)