米国のイーストマン・コダック社が去る1月19日、米国連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)に再建手続きを申請し、事実上倒産したというニュースは世界の映画関係者を驚かせた。
イーストマン・コダック社は、映画用フィルム業界の最大手であり、フィルムの他、カメラなど映像機器の製造・発売を手掛けて来たが、カメラなどデジタルへの対応が遅れたことが今回の経営不振を招いたものである。
現在のフィルム市場は、一般の家庭用カメラが100%近くがデジタルとなり、映画用フィルムも原材料である銀が世界的に高騰し、昨年米国やヨーロッパ、日本で10%の値上げを余儀なくされ、デジタル化への流れを加速する結果となっていた。
日本の富士フイルム(株)(代表:古森重隆)は早くからフィルム作りのノウハウを生かして医療用機器や健康食品などに進出、多角化を図って来た。1月30日に発表した「平成24年3月期通期連結業績予想」は当初予想を下回る売上高2兆2千億円、営業利益1100億円、(同社株主帰属)純利益280億円と減収減益の見通しとなっている。これは円高による為替差損やタイの洪水に伴う経費増加の影響によるもので、フィルム事業を中心とした業態から多核化経営がスムーズに図られている。
今回のイーストマン・コダック社の再建手続きの対象は、米国本社及び米子会社のみとなり、日本を含む米国外のコダック各社はいずれもこの申し立ての対象とはなっていない。
同社のエンタテインメントイメージング事業部アジア・太平洋地域ビジネスゼネラルマネージャー兼バイス プレジデント、イングリッド・グッドイヤーは「コダックは最高品質の映画用フィルムの開発・製造・供給を今日もそして将来も継続し、米国および米国外においても従来通りのビジネスを継続していく」としている。
なお、日本のコダックは2月1日付で藤原浩常務取締役グラフィックコミュニケーション事業本部長コンシューマービジネス事業本部長が代表取締役社長に就任。ユーザー第一主義の方針である『One kodak』をキーメッセージに掲げ、日本市場での新たなビジョンや戦略を策定し、その達成に向けてリーダーシップを発揮していく。
(代表取締役社長:指田 洋)