インディーズ・バンド“baroque”のパワー
2012年01月12日
コアなファンを握っているアーティストは強い。アニメ・ファンやアイドル・ファンも同じだろうが、いわゆる“ビジュアル系”と言われるバンドやアーティストの人気なんかは典型的だ。
04年に解散して以来、実に7年ぶりに復活した“伝説”のバンド、baroque(バロック)の新曲シングル3作品が、16日付「オリコン」最新シングル・チャートでベスト5内に同時ランクインした。彼らは、インディーズのバンドだが、オリコンによれば、インディーズのアーティストでシングル3作品がベスト5内に揃ってランクインしたのは調査史上初めてなんだとか。
ベスト5入りしたシングル3作品は、3位に「凛然(りんぜん)アイデンティティ」、4位に「モノドラマ」、そして5位に「teeny-tiny star」。いずれも1月4日に同時発売された。タワーレコードで同じ日に発売されたNYCの中山優馬を抑えて1~3位を独占したと言う。
baroqueは、01年の結成されたが、それから2年3ヶ月という史上最速で東京・日本武道館公演を成功させた。ところが、そういった人気絶頂だった04年末に突然に解散。ここで“伝説のロックバンド”と言われるようになった。とにかく、音楽業界の中には「ビジュアル・シーンの歴史を大きく塗り替えた伝説のバンド」なんて言い切る声も…。
メンバーは怜(Vo)、圭(G)、晃(G)、万作(B)の4人。怜は2年前だったが「鬱病ロッカー」なんていう著書を出してベストセラーになったりしていた…。
昨年7月に神奈川・横浜市の「赤レンガ倉庫野外特設ステージ」で野外ライブを行ったが、炎天下に集まったファンは1万人を超えた。解散してから7年経ってもなお人気が高いことを改めて証明した。その後、昨秋9月に「復活」を正式に発表。そして、活動再開の第1弾として発売したのが今回のシングル3タイトルだった。「新生baroqueをアピールする濃密な新曲となった」とメンバーは言っていた。
因みに、baroqueのシングルは、04年7月に発売した「Nutty a hermit」以来、実に7年6ヶ月ぶりのものだったという。で、「Nutty a hermit」は当時、オリコンのシングル・チャートで最高位28位だったことを考えると、今回のシングルはファンの期待度が高まっていたことになる!?
そこで10日の夜には、いま僕が月曜から金曜日までレギュラー出演しているニッポン放送「松本ひでお 情報発見ココだけ」の中のコーナー「業界ココだけチクリークス」に電話で出演してもらった。彼らは、メジャー系のアーティストのように、プロモーションなどで電波メディアに出てこない。要するに、大したプロモーションをしていないのだ。にも関わらず、シングルを出せばベスト5入りを果たす…。これは、やはり根強い人気に支えられているからだろう。
しかし、チャートでも上位にランクされるなど、ちょっとした話題になっているんだから出ても不思議じゃない。だいたい、世間の人は「baroqueって誰?」なんだから…。この時代、「知る人ぞ知る」なんていうものじゃないだろう。もっとも、メディアの連中は、彼らのような得体の知れないアーティストやバンドを嫌う。そういった意味では、出たくても「出さない」のかもしれない。これも、ある意味でメディア離れする要因になっているのかもしれない。だいたい「業界ウケ」しているようなアーティストは余りウケないのも現実なのだ…。しかし、日本発で世界に売り出せるのは「アニメ」「アイドル」そして「ビジュアル系ロック」である。そういった意味じゃメディアも、考え直す時期に来ているんじゃないだろうか…。
今回、ニッポン放送の僕のコーナーに出演したのは、メンバーの中でギターを担当している圭。彼は、今回の再活動について「メンバー全員が元気なんだし、やれるときにやったらいいんじゃないか」と言っていた。いずれにしても「今年はbaroqueをファンと一緒に育てていきたい。もう止まらない。ずっとドキドキさせてやるから」と意欲を語っていた。
今年は「バロック現象」として、「第1現象・楽しいライブハウスツアー」「第2現象・baroque初のホールツアー」を発表している。
(渡邉裕二)