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不可解な「紅白」初出場の顔ぶれでも視聴率がアップしたら成功!?

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不可解な「紅白」初出場の顔ぶれでも視聴率がアップしたら成功!?

2011年12月07日
 今年も残るところ、あと20日余りとなった。

 今年は、東日本大震災や台風、それに加え福島第一原子力発電所の放射線漏洩問題などもあって、これまでにはなかった未曽有の被害が出た。まさに悲惨な年だった。そういった中で、改めてエンターテインメントの持つ力を、よくも悪くも実感する年にもなったが、その2011年の愁眉を飾るのは、やっぱり「NHK紅白歌合戦」なのかもしれない。

 で、昨年に変わらず「第62回NHK紅白歌合戦」の出場者が発表された。

 もっとも、今年は10月1日に「暴力団排除条例」が施行されたことがあって、例年とは違った形で出場者の顔ぶれが話題になった。

 しかし、それ以上に、今年の「紅白」の出場者は(表現が正しいかどうかはわからないが)奇怪だった。

 出場者は紅白合わせて55組と、従来の「歌合戦」という表現が適切ではない「奇数」対戦。

 初出場は紅組が5組で、白組が2組の合わせて7組だが、その顔ぶれも不可解だった。

 NHKは、今年のテーマを「あしたを歌おう。」とし、震災などの被災者が自ら歌った歌、復興の歩みにエールを送った歌などをピックアップし、改めて「歌の力」を感じさせることをテーマに掲げていた。それは、それで十分に納得できるものである。

 とは言っても、「紅白」には、選考基準がある。「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出との合致」である。

 この3条件をクリアするには正直言ってハードルは高いものがあるのだが、実際に選ばれた顔を見たら驚いた。

 今年、最大の話題なったのは、芦田愛菜と鈴木福(薫と友樹、たまにムック)の歌った「マル・マル・モリ・モリ」。そういった意味では、愛菜ちゃんと福くんの出場は当然だろう。だが、紅組の絢香、神田沙也加、そして、白組の猪苗代湖ズというのは…。猪苗代湖ズは、福島県出身のスペシャル・ユニット。そういった意味では納得も出来なくはない。が、絢香と沙也加に関しては、やはり無理はないだろうか。

 絢香は、2年前に歌手活動を引退した。それは記憶にも新しい。今回は「みんな空の下」や「三日月」が、被災地で歌われていたからだと言うが、理屈を言ったら、歌われていた作品は、他にもいっぱいあるだろう。しかも、歌はともかく、彼女自体が今年1年、全く活動をしていない。そういった意味で考えたら、NHKの言う「出場の基準」にもそぐわないのではないか。だったら、震災以降、支持を得たJUJU「また明日…」の方が、一般的だろうし支持を得たはずだ。しかし、今回、JUJUは今年の「紅白」には入っていなかった。いずれにしても、絢香が歌手活動を再開するため、「紅白」を宣伝の場に使われたことは否めない。どうせなら、今年で引退するという元モー娘。のゴマキこと後藤真希を出した方がよかったような気がしないわけでもなかった。

 もう一人。神田沙也加の初出場は実に不可解。母親の松田聖子が希望したというが、共演するなら共演するだけで「初出場」の枠に入れる必要もない。かつて、倖田來未と妹のmisonoの共演したことがあったが、misonoを「初出場」とは言っていなかったはずである。

 ある意味で、神田沙也加の初出場は「紅白」の奇妙なサプライズになったことだけは確かだが、ただ、こういった「強引」とも思えるようなやり方は、NHK以上に実は聖子にとってイメージが悪いはずである。芸能ネタとしては、確かに話題になるだろう。しかし、マトモなファンだったら当然、疑問視して見るに違いない。

 ところで、そういった疑問や謎の多い「紅白」ではあるが、今年の「紅白」は、視聴率がアップすると言われている。何故か? 今年は放送が「総合テレビ」のみで、BSプレミアム(旧衛星第二)、BSハイビジョンでは放送しないからだ。「デジタル放送」になって、難視聴地域などが解消したからだという。しかし、衛星でも視聴者は3~4%あったし、ハイビジョン放送を含めたら6%前後の視聴率があった。つまり、その視聴者が今年は「総合テレビ」に単純に加わると言うわけである。と言うことは、可能性としては45%超えもあり得るというわけだ。

 ま、いろいろ問題があっても、視聴率がアップしたら「成功」である。そう考えたら、NHKも「計算高い」のかもしれない?

(渡邉裕二)

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