【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.57】
「映画 怪物くん」、大野智が大ブレイクである
2011年11月29日
「映画 怪物くん」が、大ヒットである。11月26、27日の2日間で、全国動員が43万1093人・興収5億8103万8150円を記録した。この成績は、同じ日本テレビが主体となって製作された「ごくせん THE MOVIE」(09年7月11日公開、最終興収34億8千万円)の118.3%だった(興収比)。この勢いが続けば、最終40億円突破の可能性もある。
東宝が、WEBで行った初日の観客アンケートでは、鑑賞動機として「テレビドラマの『怪物くん』が好きだから」とともに、「大野智の出演作だから」というのが、非常に大きかったという結果が出ている。嵐のメンバーの映画主演作は、今年はこれで4本目。大野智は、“3番目の男”であったが、3人のなかでは何と、最終興収で1位を狙える位置に来たと言って差し支えない。
1、木村拓哉=「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(41億円)
2、二宮和也=「GANTZ」(34億5千万円)
3、岡田准一=「SP 革命篇」(33億9千万円)
4、二宮和也=「GANTZ PERFECT ANSWER」(28億円)
5、櫻井翔=「神様のカルテ」(19億円、推定)
6、草彅剛=「僕と妻の1778の物語」(12億3千万円)
以上が今年公開された作品で、ジャニーズ事務所所属の俳優が主演した作品の興収上位6本である(10億円以上)。ちなみに、香取慎吾主演の「こちら葛飾区亀有公園前派出所~」は、8億2千万円(推定)だった。
「映画 怪物くん」は、2012年の正月作品なので、今年の作品別興収ランキングには入らないが、それでも2年単位で見た場合では、前記6本の上位の一画に食い込むほどの好成績になりそうなのは注目に値する。嵐、というより、ジャニーズ事務所に新しい“マネーメイキングスター“が登場したと言っていいかもしれない。
大ヒットの理由としては、大野自身の人気と、怪物くんと大野智のキャラクターが見事に一致したことが大きいだろう。これに、原作マンガの高い知名度も入れてもいい。結果、ドラマファンでもあった小学生から中高校生中心の観客が多数を占めることになった。ただ結果はそうであったとしても、この役柄は大野にとっては極めてリスキーであったことは間違いない。よく、チャレンジしたと言うべきであり、この果敢なチャレンジは、今後のジャニーズ事務所の方向性を変えるきっかけになるかもしれない。
(大高宏雄)