ワイドショー事件リポーター、奥山英志さんの失踪

　テレビのワイドショーで事件モノのリポーターとして知られた奥山英志さんが、神奈川・川崎市内の自宅マンションから忽然と消息を絶った騒動は、怪奇事件として話題を集めている。

　行方不明が分かったのは５月になってからだった。キッカケは、３月と４月分のマンション家賃が滞納になっていたことだという。結局、家賃は親族が支払ったそうだが、部屋のリビングには４月５日付のスポーツ紙が置かれ、ベランダには洗濯物が干され、さらに浴槽にはお湯も張られていたという。つまり４月５日まで奥山さんが部屋にいたことだけは間違いない。

　しかも、部屋には奥山さんが仕事の際に持ち歩いているショルダーバッグまであったという。このことからも、もし自分から部屋を出たとしたら、それこそ近所に野暮用で行ったとしか思えないのだが、不思議なのは奥山さん名義の預金通帳と携帯電話が消えていたと言うから妙な話だ。キャッシュカードやクレジットカードとかなら理解できるが、何故、預金通帳だったのか…？

　結局、奥山さんと連絡が取れない親族は５月18日になって神奈川県警に捜索願を提出した。しかも、ここにきて、その奥山さんが８月28日に東京・八王子市内のスーパーで目撃されていた…という情報が出てきて、さらに奇怪な失踪騒動となっている。

　ここ数年、奥山さんはワイドショーの仕事もなく「悲観して自殺したんじゃないか」といった声から「何か事件を取材していてトラブルに巻き込まれたのかもしれない」など、さまざまな憶測が飛び交っている。もちろん真相は未だ不明だ。しかし、かつてオウム真理教が横浜の弁護士・坂本堤さん一家を拉致し殺害した事件もあるだけに、目撃情報はあったとしても事件性がないとも言い切れない。

　それにしても、奇怪な行方不明事件で思い出すのは、20年前――91年３月３日に起こった人気声帯模写・若人あきら（現・我修院達也）の失踪事件である。

　若人は、静岡県熱海市和田浜南町の熱海港防潮堤付近で釣りをしていて行方不明になった。「若人がいない」。３日の午後５時40分頃、家族から熱海署に届けがあり、所轄の静岡県警熱海署が周辺を捜索したが若人の姿は見つからず、大騒ぎとなったのだ。これもミステリーな事件だった。

　「釣りをしていた場所は『立ち入り禁止区域だった』こともあって事故説が濃厚だった」

　「あそこはテトラポットがいっぱい重なっている場所で、そこに上って釣りをしていたとなったら非常に危ない。海中に落ちたら波は荒いし、海水も冷たい」。

　「もし、足を滑らせて海中に落ちて、テトラポットの下にでも潜り込んでしまったら、出るに出られなくなる。そうなったら捜索も大変になる」

　とにかく、芸能界では絶望視する声ばかりだったように記憶する（因みに、若人の失踪は当時、芸能界だけにとどまらず、一般全国紙の社会面でも取り上げられたほどだった）。

　ところが、失踪から３日後の３月６日午後３時15分頃、神奈川県小田原市の路上で呆然としているところを発見された。若人は市内の小林病院に搬送されたが、検査の結果、頭部打撲による意識喪失と全身打撲と診断された。が、若人は、周囲に

　「波にさらわれた後のことは覚えていない」「拉致されていた」

　などと意味不明なことを喋っていたという。

　結局、「記憶喪失」で真相はハッキリしなかったが、事件から12年後の03年、衝撃のニュースが飛び込んできた。 何と、若人の失踪事件は「北朝鮮による拉致だった」というのだ。これは当時「週刊新潮」が報じたものだったが、その情報を拡散したのは日本テレビ「ザ・ワイド」でコメンテーターをしていた有田芳生氏だった。まさに奇怪と言うしかなかった。

　いずれにしても、若人ではないが、奥山さんの謎の失踪にも何らかの事情があるに違いない…。来週10月５日は、失踪しただろうという日から半年が経つだけに、さらに話題が高まるかもしれない

（渡邉裕二）