人気タレントの島田紳助が芸能界を引退することを発表した。
紳助と言えば、今や「行列のできる法律相談所」(日テレ)、「人生が変わる1分間の深イイ話」(日テレ)、「紳助社長のプロデュース大作戦!」(TBS)、「クイズ!ヘキサゴン!!」(フジテレビ)など6つのレギュラー番組を抱えているだけに、事務所にとってはもちろんだが、テレビ業界も大打撃だろう。
「紳助引退」の情報が入ってきたのは、23日の午後4時半過ぎのことだった。
「今夜、10時から引退会見する」。
しかし、その時点では、所属する吉本興業に紳助に関する何らかのメールや写真が持ち込まれたことから「引退を決意したようだ」としか分からず、紳助が何故、引退を決意したのかという情報は錯綜していた。
結局、噂通り「暴力団」との “黒い交際” ということだったが、会見で紳助は50分に亘って事情や経緯を説明していたが「何故、引退するのか?」という疑問は最後まで分からなかった。
そもそも、芸能界と暴力団との関係は、今に始まった話ではない。それが単に、暴力団関係者とメールを交わしていただけで「芸能界引退」というのは、正直言って極端すぎる。確かに、6本ものレギュラー番組をもつ紳助だけに「社会的責任」は重大だ。だとしたら、逆に6本ものレギュラー番組を突然に「降板」することの方が、社会の常識として大問題だろう。
これまで紳助の行動には大きな批判があった。04年には女性マネジャーに暴行を加えたことから暴行・傷害で書類送検され、吉本興業から謹慎処分を受けたこともあった。とにかく、被害者も多い。しかし、出演番組の視聴率が高かったこともあって何でも許された? ちょっと調子に乗り過ぎたのかもしれない。そういった意味では、紳助も年貢の納め時だった感は否めない。きっと、芸能界内に限らず視聴者の中には「ざまみろ!」とか「スッキリした」なんて言い放っている輩も多いことだろう。つまり、逆に言えば、それだけ、芸能界において紳助は影響力があったということだろう。
今回の引退劇を見ると、どうしても、大阪府警の思惑が見え隠れする。そもそも、紳助と暴力団関係者のメールのやり取りを入手できるのは警察しかいないからだ。昨年、日本中を震撼させた大相撲問題にも類似する。ある人は「暴力団撲滅」の一環というが、正直言って紳助問題は、別の思惑があると思う。紳助は、会見の中で「A」と語っていた暴力団関係者が、読売新聞では「元ボクシング世界チャンピオンの渡辺二郎被告」なんて実名で報じられた。さらに、深夜には共同通信までも実名で配信している。
渡辺被告は、元タレントの羽賀研二と共に未公開株売買を巡り恐喝未遂罪に問われている。現在、最高裁に上告中だ。その渡辺被告と紳助が携帯電話のメールをやり取りしていたことが判明したのだというのが、紳助の引退の1つの理由になっているようだが、この理由付けには無理があり過ぎる。
結局、この問題。「芸能界を23日付で引退した」「24日からは一般人だから、これまでのような報道は許さない」「報じたら訴える」「社会的制裁を受けた」ってことになり、真相はウヤムヤ。だとしたら、これは明らかに無責任、社会的責任を負っていない行動だと思わざるを得ないのだが…。
(渡邉裕二)