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理解に苦しむ2つのチャリティー・イベント

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理解に苦しむ2つのチャリティー・イベント

2011年06月29日

 東日本大震災から4ヶ月が経とうとしている。早いものだが、復興の道筋は、まだまだ立っていないのが状況。そういった中で何故か活発なのが「チャリティー・イベント」である。「義援金集め」のチャリティーは減ることがない。しかも、不可解なものも横行している。

 その一つが、6月25日に北海道・旭川市に新オープンした商業施設(デパート)「フィール旭川」で行われた安全地帯・玉置浩二とタレント・青田典子の夫妻による「東日本大震災チャリティー・ライブ」だった。

 この2人、結婚したのは昨年7月。丁度1年を迎える。仲がいいのは結構だ。しかし、チャリティー・ライブなのに、中身は2人のお惚気。集まったマスコミを相手に話題を提供したいのだろうが、これではイベントの主旨が違う。しかも、来月(7月)18日に旭川市内のレストランで結婚披露宴を開くことまで発表した。結局、大震災の話も、原発の話もなし。これでチャリティーと言えるのか?

 聞けば、イベントそのものが「フィール旭川」のオープニング・イベントだったようだ。要するに玉置の「営業」だったようだ。ギャラを貰って、義援金は集まった人から集めようと言う魂胆だ。

 しかも「当初は、玉置と青田が2人で義援金箱を持つはずだった」(地元のメディア関係者)らしいが、2人で惚気話をしただけで、さっさと控室に戻ってしまったという。

 確かに、玉置はアーティストとして才能もあるし、実績も人気もあるだろう。だが、ハッキリ言って人格も含め人間性としては最低である。そもそも、チャリティー・ライブとか理由をつけて義援金を集める行為はやめるべきだろう。そこまでチャリティーにしたいなら、自ら得たギャラを寄付すればいいだけの話だ。

 もう1つは、5月18日のコラムでも記した福島市の「四季の里」での野外コンサート。イベント開催には、無理難題があるにも関わらず、予定通り8月15日に行うと言う。主催者は、地元の広告代理店などに勤める有志3人らしいが、赤字覚悟の開催になることは確か。ある意味で無謀なイベントである。出演者は坂本龍一と地元・二本松出身の遠藤ミチロウら。原発の放射能汚染で苦悩する福島を盛り上げようと言う気持ちは分かる。しかし、今、そういった状況なのか?

 対応が悪いだけで本来なら、福島、郡山市は避難すべき状況にある。というより、まずは児童に関しては県外退避が真剣に叫ばれているのだ。住民に対しても8月には内部被ばくの検査も本格的に実施される。そんな時に、野外コンサートで県外からも人を集めることが何でチャリティー・イベントなのか? しかも、会場の「四季の里」は不便で簡単には行けない。どう考えても「無責任」と考えざるを得ない。

 主催者は「個人で判断して欲しい」と言っているようであるが、何事も「自己責任」ということで解決してしまおうと言うのが私には理解できない。あるいは、コンサートに集まるファンも「自ら判断した」と言うだろう。しかし、万が一でも不測の事態が起こった場合、「自分が悪かった」なんて言うだろうか? やはり、主催者の責任になるだろう。いずれにしても、何事も「最悪の事態」を想定して計画すべきだろうと思う。

 チャリティー・コンサートなど、イベントを行うことが悪いとは決して言わない。ただ、チャリティー・イベントはどうあるべきなのか…。改めて、そのあるべき姿を論議する時期が来ているような気がするのだが。

(渡邉裕二)

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