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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.31

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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.31

2011年05月31日

◎刻々と変化する洋画2本の興行展開とは

 今日5月31日で、今年は5ヶ月が経ったことになるが、映画興行の厳しさは相変わらずである。邦画、洋画の配給会社12社の1~4月までの累計興収は、501億5407万円。これは、前年同時期の77%だった。この状態を好転させるためには、5月から夏にかけて相当な盛り返しを見せないと追いつかない。

 ただここにきて、「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」と「ブラック・スワン」の洋画2本が大健闘しているのが、少し心強い。とくに前者は、週末の興行ランキングで2週連続トップとなり、これは洋画として今年初めて。2週目に至り、本来の力を発揮してきたようにみえる。

 というのは、前回のこのコラムで報じたように、スタート時3日間の成績が前作「~ワールド・エンド」の82%にとどまったからで、その時点では今後の展開に一抹の不安があったのである。しかし、2週目の28、29日の成績が70万9209人・11億1308万9750円を記録。これは、前週土日の92%という落ちの少なさだった。29日までの累計では、235万4111人・36億670万4050円を記録した。

 これは、シリーズのテレビ放映の影響が大きかったとも言われる。公開後も映画の情報は広範囲に流れており、これに触れた子どもたちの動員が膨らみ、この土日の成績につながったとみられるのだ。ちなみに、3D版は字幕版と日本語吹替え版があるが、2D版は字幕版のみ。子どもたちは、3D版を選択せざるをえないのである。

 「ブラック・スワン」は、3週目の28、29日には、前週土日の94%の興収にとどまった。これも前回、2週目の土日が前週の70%を切ったことから、“20億円の壁” を指摘したが、3週目は持ち直したと言っていい。29日現在では、112万3749人・13億8623万5500円を記録した。これなら、20億円は超えてくるだろう。

 この2作品の6月以降の興行動向はいまだ未知数な点も多いが、この5月下旬に至っての洋画の奮起はうれしい限りだ。もちろん、「パイレーツ~」の成績はある程度は予想されていたが、「ブラック~」のような予期せざる異色作のヒットは、興行の可能性を展望できるという意味からも、とても大切なのだと私は思う。さて、6月は、どうなっていくか。

(大高宏雄)

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