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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.30

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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.30

2011年05月25日

◎「パイレーツ~」、申し分のないスタートではあるが

 5月20日から公開された「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」は、20日~22日までの3日間で、動員98万6455人・興収15億1843万3400円を記録する大ヒットのスタートを切った。

 データを、しっかりと出しておこう。上映のスクリーン数は800。このうち、3D版が601、アイマックス版が20、2D版が179となっている。3日間の興収シェアは、3D版(アイマックス上映版含む)が82%、2D版が18%。字幕版と日本語吹替え版の比率は、56%対44%となった。3日間の単価は、1539円だった。

 さらに、他作品との比較では、「アリス イン ワンダーランド」(10年、最終118億円、土日比較)の92%。「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」(05年、最終100億2千万円、土日比較、先行上映除く)の122%。「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」(07年、最終109億円、3日間比較)の82%だった。

 さあ、このデータをどう読むか。ほぼ同じ時期での公開であった「~ワールド・エンド」(07年5月25日~)の82%というのが気にかかる。今回は3D版の上映により興収がアップしているわけだから、それにもかかわらず82%にとどまったことで、シリーズに少し興行力が落ちているのかなとも思われるのだ。

 「パイレーツ」シリーズは、1作目、2作目が夏興行、3作目、4作目が5月からの興行。3作目までは明らかに尻上りの興行を見せてきたのだが、今回、作品の新規性ということでいえば、中身そのものより3D上映という点が大きいように思われる。これはつまり、アトラクションとしての映画の側面が前面に出てきたことを意味する。ここを今後、観客はどう見ていくか。その判断ができるには、もう少し時間がかかりそうだ。

 ところで、「ブラック・スワン」は、この5月21、22の2日間で1億8027万6000円を記録したが、これは先週土日の66.9%だった。5月24日現在では10億円を超えたが、2週目に到り、ある程度の落ちを見せたのが気にかかる。都会型の興行なのはわかっていたが、それでもここまで落ちたとは意外である。こちらももう少し様子を見る必要があるが、ここでもかつて指摘したような “20億円の壁” が立ちはだかるのか。

(大高宏雄)

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