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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.28

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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.28

2011年05月10日

◎今年のGW興行、洋画の不振が大きな課題だ

 今年のGW興行は、昨年実績をかなり下回ったようだ。全国的な数字は明らかにはなっていないが、札幌シネマフロンティアを見てみると、4月29日から5月8日までの10日間では、昨年の約70%の興収だった。

 昨年のこの時期は、「アリス イン ワンダーランド」があった。同作品の最終興収は118億円。GW興行期間中の稼働率も素晴らしいものがあり、全体の成績を大きく押し上げたのである。

 その「アリス~」に匹敵する作品が、今年は、ない。とともに、大震災の影響もあって、洋画の大作の延期が重なり、米映画を中心とした洋画の低迷が鮮明になった。邦画のがんばりだけでは、映画興行はしんどい。それが顕著に出たのが、今年のGW興行だったと言える。

 作品別では、興収トップを争いそうなのが、「名探偵コナン 沈黙の15分」と「GANTZ PERFECT ANSWER」だ。5月8日現在で、「名探偵コナン」が26億2640万5500円。「GANTZ~」が20億8911万7200円をそれぞれ記録した。

 今後は「GANTZ~」がその差を狭めていくだろうが、最終的には30億円あたりの攻防だろうか。昨年の邦画は、「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」が37億2千万円。「名探偵コナン 天空の難破船」が32億円。邦画だけを見ても、昨年より分が悪い。
一方で、「八日目の蝉」やロングラン中の「英国王のスピーチ」といった作品の健闘もあった。前者は、5月8日現在で6億0514万9100円。後者はすでに15億円を超え、このGW興行期間中も高稼働した。「八日目~」は、最終で15億円も視野に入る。

 しかし、「少年マイロの火星冒険記 3D」や「これでいいのだ!!~」などは、GW興行らしからぬ低迷ぶりで、興行関係者は頭をかかえた。とくに「これでいいのだ!!~」は、企画のあり方そのものを問い直す必要性があろう。

 延期の作品があったとはいえ、大人向きの映画があまりに少ない番組編成は、今後考えたほうがいいのではないか。ファミリー映画の安定感を目指すにしても、それが集中しては、当然ながら観客は分散する。観客の動向を考えたバランス感覚が、番組編成には必要とされるだろう。GW興行に限らず、プロの仕事を望みたいと、切に思う。

(大高宏雄)

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