松竹「八日目の蟬」石田雄治プロデューサーに聞く
2011年04月29日
4月29日(金/祝)公開の松竹配給「八日目の蟬」(製作:日活、松竹、アミューズソフトE、博報堂DYMP、SME、YJ、読売新聞、中央公論新社)の制作を手掛けた石田雄治プロデューサーにインタビューした。
石田氏は、「告白」(’10)で日本アカデミー賞作品賞など数々の映画賞を獲得した中島哲也監督と組み、「下妻物語」(’04)「嫌われ松子の一生」(’06)「パコと魔法の絵本」(’08)、そして「告白」の企画に携わり、今注目のプロデューサーである。
石田氏は1961年生まれの現在49歳。大学卒業後、CBSソニー、ギャガ、ポニーキャニオン、アミューズ、アミューズソフトE、デスペラード、フェイス・ワンダーワークスを経て10年7月、日活に企画製作部エグゼクティブプロデューサーとして入社した。
「八日目の蟬」は、入社第1弾であり、昨年には檀れい主演でNHKでドラマ化もされた。
作品は、第2回中央公論文芸賞を受賞した直木賞作家・角田光代のベストセラー小説の映画化。不倫相手の子供を誘拐し、4年間育てた女・野々宮希和子(映画では永作博美が演じる)と、誘拐犯に育てられた女・秋山恵理菜(映画では井上真央が演じる)の生き様を描く人間ドラマだ。石田氏は当初「原作を読んだときに、希和子の逃亡劇として連続ドラマとしては成立するが、映画にするのは難しいのではないか」と映画化には否定的な考えを持っていたが、成島出監督から秋山恵理菜を主軸に映画化したいとの提案があり、決まったものだ。「恵理菜のキャラクター設定はかなり特殊。自分の母親だと信じていた人がある日突然誘拐犯として逮捕され、全く知らない人が母親ですと自分の前に現れる…そんな経験をした子がどう成長して、自分の運命にどう向きあい、自分のアイデンティティをどう確立していくのか…その過程を原作以上に深く掘り下げて描くことができた」という。上映時間も、主人公の少女時代と大人になってからの二つの物語を凝縮して濃密に描いたので2時間27分の長尺になったが、これは何度もラッシュ試写を重ねて検討した納得済みの時間という。
映画は、母と子の絆をあつかった異色の作品として評価も高く、興行結果が待たれるところである。
(代表取締役社長:指田 洋)