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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.44】
「こち亀」、テレビ局製作作品マンネリ化を打破

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.44】
「こち亀」、テレビ局製作作品マンネリ化を打破せよ!

2011年08月30日

 香取慎吾が主演した「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝ちどき橋を封鎖せよ!」は、8月28日現在で全国動員66万2760人・興収7億4003万0050円を記録した。

 当初、昨年4月に公開された「矢島美容室 THE MOVIE~」(最終4億円)程度の出足であったので、相当厳しい成績も予測されたが、何とか最終ではその2倍である8億円前後まで数字を伸ばすことができるようだ。しかし、テレビ局主導製作による夏興行の期待作にしては、相当足りない成績であるのは間違いない。何にしても、10億円に届かないのは痛いだろう。

 ただ、常識的に考えて、何故こうした企画が俎上に上がるのか、不思議な感じをもつ人たちも多いと思う。かつて、プログラムピクチャーが邦画の主流であったときならいざ知らず、人々の好みが大きく変化した今の時代にあっては、その企画はいかにも古い感じがぬぐい切れない。これは、少数の意見ではないはずだ。

 こういう意見がある。SMAPの香取を主演にすえ、そこそこ知名度のあるテレビドラマを映画化する手法は、どこまで観客動員ができるかわからない他の全く未知数の企画より、興行的には数段安定感があるのだと。確かに、簡単に8億円と言ってしまうが、この数字にさえ届かない作品がごろごろしている。だから、それは一つの意見としてはわかる。

 しかし、その成績は今や安定感と言えるのだろうか。ちょっとした大作感をもった本作だから、製作費も上がっているだろう。テレビメディアにおける宣伝面での露出もすごいものであったし、それほどの労力をかけたわりには、 “微妙な” 安定感程度の成績ではまずいのではないか。もっと、突き抜ける成績を物にしないと、関係者はやっているかいがない。

 テレビ局主導の映画製作が、ここにきて一種マンネリ化とも言っていい状態を呈している気がしてならない。企画の立て方から主役の起用まで、マンネリ、ワンパターンの度合いが進んでいるのではないか。

 テレビ局の映画製作は、これまで以上に重要性が増すだろうというのが私の意見である。しかし、今のままでは批判が多くなるだろう。マンネリ、ワンパターンを覆し、内容、宣伝ともに信頼感ある姿勢を今後見せていってほしいと思う。なぜなら、テレビ局に代わるべき大手の邦画製作の拠点は、今のところ、はっきりとは見えていないからである。

(大高宏雄)

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