インタビュー:亀山千広 フジテレビジョン 執行役員常務 映画事業局長
2008年06月11日
テレビ局がやれることは何か!? 更なるチャレンジングなラインナップを揃えた08年
開局50周年控え「踊る大捜査線3」の可能性は―
テレビ局がやれることは何か!? 更なるチャレンジングなラインナップを揃えた08年 開局50周年控え「踊る大捜査線3」の可能性は- 2007年度興収10億円以上作品トップ10ランキングに、「HERO」(興収81・5億円)、「西遊記」(43・7億円)、「アンフェア the movei」(27・2億円)の3本をランクインさせたフジテレビ。
この他にも「ゲゲゲの鬼太郎」(23・4億円)、「大奥」(22億円)、「眉山」(12・1億円)、「それでもボクはやってない」(11億円)が10億円以上をあげ、フジテレビが絡んだ映画の総興収は243億円となった。映画事業局の亀山局長は、「利益のレベルで言うとなんとか形には出来ている」と、これだけの結果を出しても控えめだが、昨年、そして今年のラインナップを見ると、確かな戦略がうかがえる。
ブロックバスター的に興行を狙っていくものとは別に、「それボク」のように作品的にも高い評価を得る作品が柱の一つになりつつある中で、今年は更なるチャレンジングな年になるという。開局50周年を来年に控え、今後の展開などについて聞いた―。
本業に帰れるのは嬉しい―まず07年の総興収の結果を振り返ってもらいたいのですが、「西遊記」「HERO」が大ヒットしました。その一方で、「それでもボクはやってない」などは作品的に高い評価も得ましたね。亀山 「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」(興収8億円)や「それボク」は興行的には10億円前後のものですが、TV放映時の視聴率が15%、17%をあげた。TV局の作る映画として、自分たちの中ではTVに帰るんだという思いで作っています。「西遊記」「HERO」はこれから放送ですが、ソフト価値というのかな、興行である程度のリクープが出来た上に、TVでも視聴率で寄与できるということが、まわりまわって僕らの仕事。TVドラマから映画化して、ブロックバスター的に興行を狙っていくものとは別に、その種のものがTVできっちり数字を作って、自分たちのメディアから出せるわけですからね。本来の尺度から言うと、10億円前後の作品をTVにかけるというのは編成の大英断だと思うんですよ。だけど、例えば「バブル」、「それボク」は非常にタイムリーで実にTV的というのかな、TV的というのは映画的ではないということではなくて、TVに戻ってきて見せやすい、まさに企画からそういうところを、計算していたと言えば格好いいですけど、そうでないまでも少し意識しながら映画を作っている。やはり劇場でもハネたいですけど、自分のところで編成も出来て、メディアを持っていますので、そうやって考えるともう一つの柱になってきている気はする。これは編成の協力がなければ成立しないし、そのくらいの興行規模だとかけたらやりようによっては数字が取れるんだということの立証にもなったので、背中を押される。
―この手の作品が柱の一つになってきて、いわゆるTV局映画への批判も変化してきたのでは。亀山 これはもう付いてまわることなのでね、どうして批判されるのか、自局のメディアを使っての宣伝がお手軽風に見えてしまうのかもしれない。仮にそこの側面だけでお手軽にやったとして、迅速にポンと作ってふっと興行をするというのは、何年もかけて映画を撮ることもあるかもしれないけど、やはりリアルタイムで放送をやっている僕らのある種感覚的に浸み込んでいるものなので、それが作品になることで普遍になっていくということだと思うのでね。批判が云々ということよりも、自分たちが映画事業をやっていくという時に、作品の本質として、凄く本業に帰れるのは嬉しいですよ。