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TVer開始で注目のデジタルテレビ広告/Videology日本コマーシャルディレクター マイク・ダン

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TVer開始で注目のデジタルテレビ広告/Videology日本コマーシャルディレクター マイク・ダンブロジオ氏に聞く

2015年12月16日
 在京民放テレビ5社は10月26日、共同でテレビ番組を広告付きで無料配信するキャッチアップサービス「TVer(ティーバー)」をスタートした。アプリダウンロード数は11月19日に早くも累計100万ダウンロードを突破。テレビ番組のリアルタイム視聴回帰や促進を図るとともに、デジタルテレビ広告でのマネタイズが狙いとされている。また、無料映像配信サービスGYAO!などを持つYahoo! JAPANはこのほど、インストリーム広告の広告配信プラットフォームを「Videology(ビデオロジー)」に移行した。
 本社をニューヨークに置き東京にも支社を持つVideologyは、世界最大級のデジタルテレビ広告プラットフォームのソリューションを提供する企業だ。今後、日本のデジタルテレビ/ビデオ広告市場が成長するためには何が必要か、今注目のVideologyで日本のコマーシャルディレクターを務めるマイク・ダンブロジオ氏に話を聞いた。ダンブロジオ氏はイギリスのテレビ局と共にデジタルビデオ広告ビジネスの立ち上げに取り組んだ経験がある―。※取材・文/構成:小川 航



マイク・ダンブロジオ氏
――これまでVideologyがイギリスのデジタルテレビ/ビデオ広告市場の成長のために行ってきたことは?

マイク まずはっきりさせておきたいのは、海外の市場を作ったのはVideologyという認識を持たれているかもしれませんが、Videologyはテクノロジープラットフォームであり、イギリスのデジタルテレビ/ビデオ広告の市場を立ち上げようとした企業にテクノロジーを提供したまでということです。イギリスでは約5年前、複数の大手メディアエージェンシーがテレビ広告の取引とVOD(ビデオオンデマンド)の広告取引を全て一緒に行うことを決めました。これを皮切りに、イギリスの放送局やプレミアムパブリッシャーがビデオ広告の利益をあげられるようになったのです。ここで得た資金をコンテンツ調達にまわしました。そういった状況の中でVideologyはテクノロジーを提供し、オンラインの在庫をテレビ広告と同じように予約配信できるようにしました。また、特定のセグメントに対するターゲティングも可能にしました。例えば「18~24才の女性」など、しっかりとターゲティングできたことで、テレビの世界ではできなかったターゲティングが可能になりました。それがビデオ広告市場で大きな成功を収めることに繋がったのです。ここでのキーポイントは、放送局が過去のアーカイブだけではなく最新のキャッチアップコンテンツをオンラインに上げたことだと思います。このような環境をイギリスで構築できたのは、放送局が時間・資金・労力といったリソースを惜しみなく投資し環境づくりを推進したこと、そして広告主と代理店がサポートしたことがあると思います。Videologyとしてはテクノロジーという側面からサポートしたまでです。

――日本で無料見逃し配信が始まったのは2014年です。イギリスはそれよりも前に無料見逃し配信を実現させました。

マイク 先ほどの回答でも少し触れましたが、放送局がプレミアムコンテンツをオンラインに配信していったのです。そもそもなぜ広告主がVODに興味を持ち始め、放送局の背中を押したかというと、ある特定のオーディエンスはどんどんオンラインでコンテンツを視聴するようになったことに、広告主が気付いたからだと私は考えます。テレビ広告業界が享受している恩恵と同等のものを得たければ、プレミアムコンテンツに広告を出さなければならないと考えたのではないでしょうか。ブランド認知向上のために、素人が撮ったお粗末なホームビデオや質の悪いコメディビデオのプリロールに広告を出すのと、質の良いプレミアムコンテンツに広告を出すのとでは、得られる結果が大きく違うのです。

――日本では“若者のテレビ離れ”もよく言われています。

マイク 厳密には私はそうだとは思いません。若者も絶対にテレビは見ますし、テレビは圧倒的にベストなブランディングツールです。ブランド側は、広く認知されるために最も効率的な方法でメッセージを伝えたい。オンラインで特定のユーザー層にアクセスするのは比較的簡単だと思いますが、一方で、それ以外の層にリーチするのはオンラインと比べテレビ広告のほうが簡単です。ただ一つ言えることは、日本市場はもっと多くのデータが必要です。これは日本のテレビ市場とデジタル市場両方に言えることです。テレビ広告がどこにリーチしているかというデータがなければ、広告主にとって最適な広告組み合わせで配信することは不可能です。日本の特定の会社は豊富なデータを保有していますが、私の知る限り日本で利用可能なデータは、まだまだ他のアジアの国々やアメリカやイギリスとは比べものにならないくらい少ないです。他の懸念としては、オンラインの単価と比較してテレビ広告の単価は相当安いという点です。デジタルでリーチやGRP(延べ視聴率)を伸ばそうとしても、コスト的に見て非効率に思われることもあると思いますが、どのユーザー層にターゲットするか、もしくはテレビ広告在庫の費用、オンラインの在庫の費用等その他の要素によって異なります。(次のページにつづく)

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