「こどもの映画館シリーズ」イオンエンターテイメント渋谷昌彦氏
2014年10月06日
半年に1本のペースで製作・公開
――なぜ、シリーズ化するのですか。
「映画館デビューのタイミングは、各家庭それぞれ異なると思います。今はまだ少し早いけれど、もう少ししたらデビューできるかも?…と。ですから、半年に1本くらいのペースで継続して公開していき、定期的に上映されているシリーズにしたいのです。『こどもの映画館シリーズ』を示すエンブレムを作りました。今後は、このエンブレムを見た方が『また、あのシリーズが来たね、今度こそ行きたいな。行けるかも』と心待ちにしていただけるようなシリーズを目指します。そのためには、出来る限り早めにお客様に次回作を告知していかなければなりません。すでに第3弾以降の製作について、検討を始めています」
――劇場では、どのような宣伝をしていますか。
「インシアターとモール内を中心に宣伝を展開しています。支配人を始めとする劇場スタッフが近隣の幼稚園や保育園、学童施設などを周り、5~10km商圏から確実にお客様に来ていただく導線づくりをし、また、日頃から付き合いのあるTV局、フリーペーパーなど地元メディアと連携して媒体で取り上げてもらったり、試写会を行ったりしています」
――イオンシネマは、以前からファミリー向け作品で強さを発揮してきました。これまで他社の作品で『こびとづかん』シリーズ(配給:アスミック・エース)、『れっしゃだいこうしん』シリーズ(配給:プレシディオ)などを独占公開しており、自社案件でも今回のシリーズや『劇場版 ゆうとくんがいく』など独自のファミリー向け作品がかなり増えてきました。

「ファミリー向け・キッズ向けコンテンツという大きなカテゴリーでは同じ分類になろうかと思いますが、実はそれぞれの作品ごと、ターゲットが異なります。キャラクターが好き、原作が好き、乗り物が好き、動物が好き・・・、など、お子様の興味は様々。この『こどもの映画館シリーズ』が目指すのは、少しでも多くのお客様に広く、そして誰が(どの年齢のお子様が)観ても楽しめる、かつ映画館デビューにもぴったり、そういう作品です。今後も『こどもの映画館シリーズ』が、子どもたちにとって、学びのきっかけや心の成育の一助になる、そうした作品づくりをしていきます」
映画館離れの親を呼び戻す
――イオンエンターテイメントは新規出店が今年5カ所あり、来年も数カ所決まっているなど、今後も劇場数が増えていきますね。出店するいずれの地域でも競合がありますから、番組の差別化という意味でも、このシリーズのような独自コンテンツは強みになるのではないですか。
「確かに、独自コンテンツを独占上映することのメリットはあります。しかし、それ以上に大事にしていることは、このシリーズがお子様の映画館デビューを推進し、かつ一時的に映画館から離れてしまった親御様にも、もういちど映画館に来ていただくきっかけ作りになってほしいということ。当社は昨年7月にワーナー・マイカルとイオンシネマズが経営統合して誕生して以来、エンターテイメントのプラットフォームを標榜しています。『こどもの映画館シリーズ』では、作品そのもののコンセプトや内容にも言及するようになりました。ですから、今後もより良い形を模索しながら変化していくと思います」
――なるほど。イオンエンターテイメントが調達したコンテンツでは、英国ロイヤル・オペラ・ハウスのバレエ&オペラ公演をTOHOシネマズやユナイテッド・シネマ等の各社に配給した実績がありますね。
「作品が全国各地で上映されることは、とても大切だと考えています。映画館のない町もたくさんあります。映画館とホール、興行と配給、映画とODS、そうした垣根を越えて、ひとりでも多くのお客様にエンターテイメントを味わっていただけるよう、新しいことに挑戦していきたいと思います。エンターテイメントのプラットフォームになるという目標を達成するために、広い視野をもって進んでいけるかどうか、まだまだチャレンジが続きます」(了)
【こどもの映画館シリーズ第2弾『ぼくらは動物探険隊 富士サファリパークで大冒険』】企画・製作 渡邉正城
監督・脚本 山岸謙太郎
エグゼクティブプロデューサー 大山義人、竹内大介
プロデューサー 小金沢剛康、渋谷昌彦
声の出演 瑞木にょこ、鈴木大輔
企画・製作協力 イオンエンターテイメント
製作 アゾットトータルマネジメント
製作・配給 エレファントハウス
プロダクション協力 ProjectYamaken、TRIPOD
9月20日(土)より全国のイオンシネマで独占上映
取材・文/構成:松本貴則