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成長分野の人材養成 − マンガ家のデジタル作画技術習得を支援

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成長分野の人材養成 − マンガ家のデジタル作画技術習得を支援

2013年10月20日
成長分野の人材養成
−マンガ家のデジタル作画技術習得を支援

 アニメ・マンガ産業は、日本経済の発展に期する成長分野として政府から認定されている。
 文部科学省は、将来のアニメ・マンガ産業を支える人材を育成すべく「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」として「アニメ・マンガ人材養成産官学連携事業」を組織。日本工学院専門学校が事務局となり、産・学の全国的な参加協力を得て「アニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアム」として事業を進めている。
 ここでは、10月20日(日)東京ビッグサイト(コミティア106会場内)で世界のマンガが集う「第2回海外マンガフェスタ」が開催されるのを機に、同フェスにも参加する「アニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアム」の<マンガ分科会>の活動概要(人材養成の考え方、構成委員、昨年度・今年度の活動など)を紹介する。
 先に要点を述べれば、<マンガ分科会>の活動の主眼は、【デジタル作画技術の習得支援】である。


【アニメ・マンガ人材養成産官学連携事業の概要】
学習システムを整備する

・産学官コンソーシアムを整備し、産業界などのニーズを踏まえた人材養成策を策定する
・社会人など実践的な職業能力を向上するための新たな学習システムを開発する
・各分野における専門的・実践的な教育の質の保証・向上のための仕組みを作る

マンガ分科会の構成委員

【分科会委員長】
 ・モンキー・パンチ(デジタルマンガ協会会長)
【分科会副委員長】
 ・山田ゴロ(デジタルマンガ協会事務局長)
【分科会委員】
 ・片桐孝憲(ピクシブ 代表取締役社長)
 ・金森吉弘(トライデントデザイン専門学校 校長)
 ・慶原伸浩(専門学校 日本デザイナー学院 事務局長)
 ・佐藤充(日本工学院専門学校・日本工学院八王子専門学校 クリエイターズカレッジ カレッジ長)
 ・清水郁郎(マンガヴィジョン代表)
 ・高橋由美(日本アニメ・マンガ専門学校 副校長)
 ・竹内一郎(宝塚大学 東京メディアコンテンツ学部マンガコース主任教授)
 ・田中誠一(文星芸術大学 マンガ専攻准教授)
 ・西野公平(京都精華大学 マンガ学部マンガ学科准教授)
 ・野内雅宏(講談社 第7編集局長)
 ・平田章(セルシス 社長室長)
 ・宮井あゆみ(画像情報教育振興協会 事務局長)
 ・本山繁(専門学校東京デザイナー学院 学科長)
 ・矢野幸治(ワコム マネージャー)
 ・山田裕之(大阪総合デザイン専門学校 部長)
 ・横田清(小学館 取締役)

マンガ産業・教育の現状

【マンガ分野の人材需要状況】
 ・マンガ家数:約7200人(2010年調査)
 ・アシスタント数:約2万4000人(2009年調査)
 ・マンガ出版社数:195社(2010年調査)
 ・定期発行マンガ雑誌:400誌以上
 ・マンガ編集者:推計2000人
【マンガ分野の人材育成を行う教育機関の現状】
 ・大学院・大学・短大21校30コース
 ・専門学校44校61コース
 (※数字はアニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアムの資料より)

マンガ分野における人材養成の考え方

・マンガの創作は本来、マンガ家、出版社(編集者)の個性的な才能によるもので、またこれを目指す人材養成機関も個性ある才能を伸ばす教育を行う必要がある。
・一方で、昨今のマンガ業界ではデジタルツールの導入が進み、すでにプロとして活躍しているマンガ家へのデジタル技術習得支援、教育機関でのデジタルツールによる創作指導や、海外からの留学・デビュー希望者への対応が求められ、産学で日本のマンガを生かしたデジタル創作の指導が必要になっている。
・そこでこの事業では、マンガ人材養成のため、デジタル創作による養成を主題に進めていく。

学習システム整備の考え方

 マンガ創作本来の個性的な才能育成をサポートするデジタル創作の学習システムを以下の3つの観点で整備する
  1. 既存マンガ家のデジタル創作技術習得の支援
  2. マンガ家を目指す人材養成にあたる教育へのデジタル創作指導の導入
  3. 将来、日本のマンガの指導を国際的に広めたり、子供たちの創作体験によりマンガの楽しさを普及、人材のすそ野を拡大

昨年度のマンガ分科会の活動

1. デジタル作画導入調査
・出版社編集部の連載作家のデジタル作画導入の実態、教育機関におけるデジタル作画教育導入の実態をアンケート調査。出版社雑誌44誌、教育機関18校から回答。
  − マンガ家およびアシスタント、編集者がデジタル作画ソフトに慣れていない
   →使い方を学習できる機会を増やす
  − デジタルアシスタントの技量の判断、人選が難しい
   →デジタルコミック検定試験制度を推進、教育機関で学ぶ学生の技術の向上と基準
2. マンガ留学生、日本で活動する海外マンガ家調査
・留学生は、韓国から中国中心となり、多い学校では20%に達する。技量の高い学生もいるが、日本語の問題と、卒業後の終業の問題がある。マンガ学校を卒業した留学生や、マンガ家活動希望で日本に来た人に対して、雇用の面でマンガはフリーであることから労働ビザが課題となる。

今年度“マンガ職域プロジェクト”として具体的事業開始

1. デジタル作画技術習得支援
・現役のマンガ家、編集者、アシスタントにデジタル作画技術習得講座を開催する
・専門学校、大学におけるマンガ家予備軍に対するデジタル作画教育の充実
 − デジタル作画教室の緊急性を啓蒙
 − 対応できるカリキュラム・シラバス(授業計画)を開発する
 − 担当できる講師を養成
2. 海外からの留学、日本でのマンガ家活動に対応
・日本でマンガを学ぶための日本語学校、専門教育、産業界連携体制の構築

「第2回海外マンガフェスタ」との共催事業等の活動

1. デジタル作画講習、海外マンガ家育成・デビュー体験講座
・海外マンガフェスタのアーティストアレイに参加する海外マンガ家・同人作家と日本のマンガ教育機関で学ぶ留学生を対象に実施(2013年10月19日実施)
2. アニメ・マンガ人材養成産学官連携コンソーシアム統括委員会・マンガ分科会
・海外マンガフェスタ会場内で開催する(2013年10月20日実施)
3. 世界のマンガ教育・文化交流シンポジウム
・海外マンガフェスタと共催。同会場内でトークライブのプログラムとして開催する(2013年10月20日実施)
4. 海外マンガフェスタ参加作家・留学生の作品評価
・アニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアム・マンガ分科会参加委員による評価(2013年10月20日実施)


(文・構成 中原卓彦)


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