いま日本映画界はデジタル化で大きな激変期に
2012年08月23日
今、日本映画界はデジタル化で大きな激変期を向かえている。
映画業界におけるデジタル化は、昨年の地上波デジタル放送の流れによるもので、フィルムからデジタルに変更することで映画の製作から配給、興行にわたって大きくコストを削減することが主眼となっていた。製作面においては、一部の監督、撮影監督(キャメラマン)作品を除いてほぼ100%近くがデジタルでの撮影となった。さらに、この春、キャノンが1台100万円を切る映画用デジタルカメラを発売し、この流れが一層拍車がかかりそうである。
配給面では、当初、衛星配信や光ファイバーによる配信が模索、検討されたが、現在はデジタル・パッケージによる配送方式がとられ、配送面でのコスト削減は実現している。アーカイブは各社まちまちだが、松竹はフィルムでの保存をしている。理由としては、フィルムは劣化するものの復元は可能であるのに対し、デジタルはすべての映像が消去されてしまう可能性があるからである。
興行面では、大手シネコン会社の全スクリーンにわたるデジタル化はほぼ完了しつつある。今、一般館、ミニシアターでのデジタル化が課題となっている。昨年から一般館の閉館が相次いでいるが、興行成績が落ちた中で、デジタル化の設備投資が問われる中で、やむなく撤退を余儀なくされるケースが起きている。
ミニシアターにおいては、興行サイドの問題もさることながら、バーチャルプリントフィーの経費の発生による配給サイドの経費負担で、中小配給会社の経営を圧迫するケースも出ている。
いずれにしろ、デジタル化で製作面においては、フィルムに比べてより低予算、コンパクトのスタッフでの撮影が可能となり、若い才能の出現に期待が寄せられている。
今、デジタル化は過渡期であり、様々な現象が起きる可能性があるが、これはやむをえないものであろう。
(代表取締役社長:指田 洋)