女優・米倉涼子がこの夏、ミュージカルの本場とされる米ニューヨーク・ブロードウェイの舞台に立つことが決まった。人気作「シカゴ」の主演を射止めた。日本版出演を経て実力が認められたもので、日本人女優がブロードウェイのロングラン作品で主演するのは史上初めて。15日、都内で会見し、振付のゲイリー・クリスト氏から正式に出演決定のレターを受け取り「口に出し続けていれば夢って近づけるんだ」と涙ながらに喜びを語った。
ブロードウェイ進出の吉報を受け「とにかく嬉しい」と涙まじりの笑顔。「プレッシャーもあるけれど、大きなチャンス。たくさんの女優さんが立ちたいと思っている場所だから、みなさんの夢も背負って、その期待を裏切らないよう頑張りたい」と気合いを込めた。
1958年に故ナンシー梅木さんがブロードウェイ主演を果たしているが、ロングラン作品で日本人女優が抜てきされた例は過去にない。また、アジア出身者でアジア系でないアメリカ人役を演じるのは、男女通じて史上初めてになる。「アジア人女性として誇りを持って(現地へ)行きたい」と決意をにじませた。
本場の「シカゴ」に魅せられ、2008年から日本版の主演を務めてきた米倉。「演じるたびに涙がでる。これを演じるために生まれてきたんじゃないかとすら思うほど」とまで表現。その魅力を聞かれると「音楽も衣装も良いし、真ん中にオーケストラいてそのまわりをみんなが歌い踊るのがもう……。人物は、エロティックでワルでかわいくてカッコよくて……。黒の衣装とスポットライトだけの演出に釘づけになる」と止まらなかった。
初演から15年以上がたった今も愛され続け、日本語をはじめ11種類以上の言語に翻訳、20カ国以上で上演されている名作中の名作。その主人公ロキシー・ハート役をブロードウェイで演じる。かねてから現地プロデューサーらにアピールし、必須の英会話や歌、ダンスのレッスンを地道に重ねてきた成果が実った。公演は7月中の1週間が予定され「あと3カ月、必死に頑張ります」。最終的には現地で4~6週間“缶詰状態”で稽古し初日を迎えるという。