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ミニセミナー「日本・香港 共同制作支援スキーム」

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ミニセミナー「日本・香港 共同制作支援スキーム」

2011年11月04日

日本の大いなる勇気、復興への決意を共有したい!

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 香港貿易発展局+公益財団法人ユニジャパン主催のミニセミナー「日本・香港 共同制作支援スキーム」が10月24日、東京・六本木のグランドハイアット東京で行われ、香港貿易発展局日本主席代表の古田茂美氏、香港国際映画祭名誉事務局長のフレッド・ワン氏、文化庁文化部芸術文化課芸術文化調査官の佐伯知紀氏、香港映画発展局委員のナンサン・シー氏らが出席した。
(上写真、左から3人目が松谷氏、同5人目が依田氏、右から3人目が佐伯氏)


日本への支援事業を実施
 
 「経済貿易緊密化協定」(CEPA)のもと、巨大な中国本土マーケットへの優先的参入権が与えられている香港は、世界中のエンタテインメント業界から、大中華市場へのゲートウェイとして大きな関心を寄せられているが、古田氏は「今年は3月11日に東日本大震災が起き、あらゆる影響をもたらしたが、そういった中で、日本と香港の経済交流が継続するために香港貿易発展局では、各種の措置を提供し、日本は依然として大丈夫であるということを香港でも広く発信してきた」と述べ、「映画・コンテンツ産業の分野では、来年3月に香港国際映画祭が開催される時に、日本への支援事業を実施したいと考えている」とし、日本と香港のさらなる交流をアピールした。

P1180297.jpg 具体的には「主要プログラムである『香港‐アジア・フィルム・ファイナンシング・フォーラム』、HAFで、東北の被災地をロケ地に変更して製作している作品の内の一本を、すでにHAFに申請して頂き、製作資金調達に臨んで頂く予定。さらにHAF申請費用に関して、震災関連で製作されている作品については、全て申請費用は無償にすると委員会が決めた。また、映画祭と併催される香港フィルマート期間中に、東日本大震災関連の日本映画特別上映企画を実施することも決定。ここでは被災地を支援している各種の日本映画を集め、集中的に上映し香港社会に紹介。園子温監督の『ヒミズ』、震災前の石巻市でロケされた『エクレール~お菓子放浪記』などが予定されている」ことを説明した。(右写真は古田氏)


HAF、アジアのプレミア企画マーケット

 そのHAFについてはフレッド・ワン氏が登壇し紹介。HAFとは、映画プロジェクトを携えたアジアのフィルム・メーカーが共同ベンチャーを目的に、国際的に知名度の高い映画投資家、製作会社、金融機関、配給会社、バイヤー、出資者らと出会う場として設定されたアジアのプレミア企画マーケット。アジアの才能を発掘し、投資を行うには理想的な場で、彼らの作品にどこよりも早く触れることが出来る。39の国と地域から1000人以上のフィルム・メーカーと資本家が参加し、毎年選りすぐりの約25のプロジェクトがイベント期間中に紹介される。

 本年度は、13地域から選ばれたプロジェクト数は28。投資家とフィルム・メーカーによって行われたプライベート・ミーティングの数は610で、総額66万3000香港ドルとアワードが支給されている。アワードには、①HAFプロジェクトエントリー、②FOXチャイニーズ・フィルム・ディベロップメント・アワード、③HAFスクリプト・ディベロップメント・ファンドの3つのカテゴリーがあり、それぞれ応募資格、条件がある。

 ①は、長編フィクション/ノンフィクション・プロジェクトであり、監督、プロデューサー、製作会社が決定していること、但し監督1名につき、1プロジェクトの応募を上限とする。予算案及び資金調達計画の提出が必要。アジアもしくはその地域において潜在的な市場があること。芸術的且つ商業的クオリティを有するプロジェクトであること。そして、いかなる製作段階からでも申請可能。

 ②は、中国語を使用している企画、もしくは中国への変換に適した長編映画作品に限定。芸術的にも商業的にもクオリティの高い長編劇場用映画となることが見込まれるプロジェクトであること。コンテンツにアジア的要素を含んでいること。資金調達、配給、セールスのスキームが固まっていないこと。そして、いかなる製作段階からでも申請は可能。

P1180301.jpg ③は、脚本は独創性、創造性に優れ、アジアもしくはその他地域において、長編映画製作へ発展する可能性の高いプロジェクトであること。申請者が作者本人であること、もしくは提出された資料の著作権を有していること(所有権移転がある場合は要照明)。申請者は、映画の製作実績を問われないが、映画製作者が申請をする場合は、制作実績が3本を超えていないこと。そして、提出される脚本は、中国語で書かれていなければならず、アジア発のコンテンツのみが対象。(写真左がワン氏)

詳細はHAFのホームページ(http://www.haf.asia/)を参照。


文化庁国際共同製作映画支援事業スタート

 続いて、佐伯氏が登壇し、文化庁国際共同製作映画支援事業について紹介。本年度からはじまった同支援制度の申請から支払いまでの流れを説明。対象は、日本を含む二か国以上で共同製作される劇場用長編映画(劇映画及びアニメ)で、補助金の額は、補助対象経費の5分の1、但し、1件あたり5千万円が上限とした。

 「文化庁は、自国で作った映画を自国で見せるためのノウハウは蓄積していたが、近年は、一国だけではなく、近隣外国との合作をどう考えるか、どういうことが出来るのかがテーマになった。年度内に完成しなければならないという条件はついているが、合作映画の場合時間がかかるので、ユニジャパンの認定委員会で認定された企画の有効期間を3年間とし、認定された年でなくてもトライできるという仕組みに変えた。9月30日に本年度の審査結果、全部で5作品(劇映画3本、アニメ2本)を発表。文化庁が国際的な事業にこういう形で踏み込むのは初めて」とし、香港映画発展局が持っている映画製作支援スキームとの組み合わせの可能性についても言及した。


中国との共同製作、市場の大きな可能性

 そして最後に、ナンサン・シー氏が登壇し、香港における映画製作支援スキーム(香港映画発展基金)の紹介を行った。香港映画発展局は、07年4月に香港映画産業の発展を目的として、香港特別行政区政府により設立された政府機関。「映画発展基金」による映画制作費の援助の他、映画関係者に対し各種支援サービスを提供している。映画発展基金は、香港映画産業の振興に寄与するプロジェクトや各種活動に資金を提供する目的で設立され、07年7月、香港特別行政区政府は3億香港ドル(約42億円相当)を本基金に注入し、香港プラットフォームを活用する海外の映画関係者にも広く門戸を開放した。

P1180303.jpg 基金のスキームは、製作費の上限1200万香港ドル(約1.7億円相当)のうち、最大30%までを基金が出資金として拠出(360万香港ドル=約5千万円相当)。申請者は残りの70%について自己資金、もしくは第三者の投資を確保すること(単独/複数の出資とも可、国籍不問)。基金は分割で製作費専用口座に入金。興収は、回収エージェントによって定期的に利益分配(配当)される。第三者の監査による会計報告を提出する義務を負う。(写真右がシー氏)

 必要条件は、製作に当たり脚本が完成していること。製作費予算1200万香港ドル以下が対象。主要製作関係者や主演キャストが香港永久居民であること。製作スケジュールの提出。キャッシュフロー計算書の作成・提出。売上、配給予測の作成・提出。その他、プロジェクトの承認後、申請者はいくつかの責務を負う。

 申請要件は、申請者は香港で登記された企業であり、過去10年間に、少なくとも2本以上の長編作品を手掛けた①経験があるか、②プロデューサーが参画しているか、③監督が参画していること。また、最低3つのカテゴリー(プロデュ-サー、監督、脚本、主演女優、主演男優)で香港永久居民を起用すること(各カテゴリー最低1名ずつ)。映画製作過程の大部分が香港で行う申請者は優先的な扱いを受けられる。

 シー氏は、経済成長が著しい中国との共同製作、中国市場の大きな可能性をあげ、「香港で2010年度の興収トップ10のうち7本が中国と香港の共同製作だった」とし、「中国を泳いでわたるのは難しいと言われているが、香港には中国との共同製作の経験を積んだ有能な企業、人材がいるので、是非香港と一緒に製作、投資して欲しい」などとアピールした。




P1180311.jpg なお、ミニセミナーに続いてレセプション「香港シネマ@TIFF」が開催され、香港貿易発展局及び香港映画発展局会長のジャック・ソー氏(写真左)がはじめに登壇。「今年は『1911』が東京国際映画祭で特別オープニング作品に選ばれる栄誉を得たことを嬉しく思っている」と挨拶し、この映画には2つ意味があるという。一つ目は、「日本と辛亥革命との近い関係を示しており、実際資金集めは日本で行われ、妻とも日本で出会ったということ」。2つ目は、「香港と中国が共同製作した成功例だということ。香港での映画作りの中で、こうした共同製作が主流になってきており、ここ数年の動きで興収の上位には共同製作作品が名を連ねる実績もある。共同製作の形をとった香港での映画作りは、中国本土のマーケットに進出していく一つの形となっており、すでに日本の映画業界、それを支援するファイナンス関係の方たちもこの仕組みに参画している」と説明した。

 そして、「こうした形態を語るに一番相応しい場を提供するのが、私どもの開催している香港フィルマート。3月に開催しており、このフィルマートには中国本土から映画産業に携わるプロの方たちが1000人以上参加している」とし、また「来年3月のフィルマートは、特別なテーマを日本においている」という。「東日本大震災以降、日本が見せた大いなる勇気、復興への決意をここで共有したい。3月に、震災以降の日本の状況を描いた園子温監督の『ヒミズ』を上映したいと思っている。心から香港の映画業界人と日本の映画業界人の間での共同製作の機会が、もっと増えていくことを願っているので、是非、来年の香港フィルマートで逢いましょう」と呼びかけた。
 続いて、映像産業振興機構理事長の松谷孝征氏が祝辞を述べ、東京国際映画祭チェアマンの依田巽氏が乾杯の音頭をとった。 (了)


ユニジャパン エンタテインメントフォーラム
※「焦点・中国の動画配信ビジネス」はこちら。

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※「成功する地域コンテンツ産業育成のポイント」はこちら

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