TBS系の人気長寿ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」(木曜午後9時)が、21年間の歴史に幕を閉じるまで残り1カ月を切り8月30日、脚本の橋田壽賀子氏が都内の同局で会見した。橋田氏は、このほど最終回の脚本を脱稿した際、出演の泉ピン子らから祝福され、86歳にして初めて飲酒したと告白。「生まれて初めてコップ1杯のビールを飲んだの。美味しかったわ。これから“のんべえ”になろうかしら」と満面の笑みを浮かべた。
1990年のスタート以来、「渡鬼」の愛称で親しまれてきた大河ホームドラマが、現在放送中の最終シリーズをもって完結する。単発スペシャルも含めると全500話を書き下ろした橋田氏。「地獄から解放された気分」と冗談めかしながら、「ここまで書けたのは(死別した)主人が見守ってくれたおかげ。TBSにも本当に感謝したい」と感極まった。
小料理屋「おかくら」の亭主・岡倉大吉と5人の娘たちをめぐる家族の物語は、9月29日放送の2時間スペシャルで大団円を迎える。橋田氏は「私は“ハッピーエンドの橋田”で有名ですからね」とラストを予告。最終回には赤木春恵が6年半ぶり、上戸彩が4年半ぶりに登場するなど、キャスト総勢50人以上が勢ぞろいすると明かした。
会見には、橋田氏とコンビを組み続けてきた石井ふく子プロデューサーが同席し、互いの労をねぎらった。公私にわたり50年近い付き合いで、石井プロデューサーは「橋田先生は私に対して唯一憎まれ口をたたいてくれる人。なくてはならない人です」。橋田氏は「プロデューサーが同世代の方で良かった。若い人だと理解できない部分をちゃんとわかってくれた」と振り返った。
「渡鬼」はいったん完結するが、橋田氏は「“岡倉家”はこれからも見守っていきますから。2時間もので書いてと頼まれればまた書くわ。私から書かせてくれとは言わないけれど」。86歳にしてまだまだ元気で「まずは好きな旅行に出かけたい」と笑った。