◎続く公開延期は今や映画界の大問題である
3月11日の大震災以降、東北・関東圏の映画館では、休館が相次いだ。なかなか全体像はつかめないが、現在も休館になっているところが多い。さらに、いつまで続くのかわからない計画停電の影響は、映画興行に暗雲を投げかける。もちろん、これは全産業に影響を及ぼす。
WB「かぞくはじめました」(3月26日予定)、パラマウント「ジャッカス3D」(3月26日予定)など、公開延期が続々と明らかになっているが、これはちょっと由々しき事態である。もうこうなると、内容面云々の問題ではない。
米メジャー系の作品が多い。メジャー系は、先週、社員が自宅待機の会社が多かったから、様々な作業が間に合わないということもあろうが、もう少し緊張感をもってほしいと思う。
公開延期の作品が多くなると、劇場は停滞してしまう。観客側から見ても、納得できないのではないか。もちろん、東北・関東以外の劇場では営業はしっかりと行われているのである。数々の公開延期は、映画界にとって今や大問題だと言っていい。
この日曜日(3月20日)、首都圏の劇場が少し賑わった。停滞していた映画を見るマインドが、少し戻ってきたということだろうか。ある都内の劇場では、土曜日(19日)と比べて、2倍以上の動員を見せたところもあった。今後の展開は読めないが、こうした少しでも好ましい現象があると、私はホッとする。
「SP 革命篇」は、東北・関東圏以外の劇場で見てみると、健闘している。前作「SP 野望篇」(最終興収36億3千万円)を凌ぐ成績になっており、この2週目の落ちも少ない結果が出ている。順当な上映ができていればと思うが、こればかりは致し方ない。
3月19日から公開された「漫才ギャング」は、19、20、21日の3日間で、全国動員11万0934人・興収1億3912万8600円を記録した。上映館数は、当初予定250スクリーンだったが、197スクリーンでの上映となった。1週間前の宣伝活動がほとんどできなかったなかでの公開だけに、健闘したと言っていいのではないか。
映画界は今、映画の上映というもっとも重要な部分で、しっかりとした対応をしていることを示す必要があると思う。義援金箱を設置したから、いいというものではない。観客は、しっかりと見ているはずである。
(大高宏雄)