前回から、相当(なんてものじゃない)間が空いてしまった。大変失礼したが、例によって弁解はしない。ただ、「アナと雪の女王」が、先週の土日(6月28、29日)も、興行ランキングのトップに立っているとなると、前回から興行状況は大きくは変わっていないとの判断もできる。
さてさて。いきなり、調べたばかりの今年上半期の洋画作品別興収トップテンを以下挙げるので、とくとご覧あれ。ちょっと、前代未聞のことが起きているのがわかるはずだ(数字は一部推定、6月までの公開作品)。
(1位)「アナと雪の女王」260億円~
(2位)「ゼロ・グラビティ」31億7千万円
(3位)「アメイジング・スパイダーマン2」31億円
(4位)「ノア 約束の舟」15億円
(5位)「ホビット 竜に奪われた王国」14億円
(6位)「プレーンズ」11億4千万円
(7位)「X-MEN:フューチャー&パスト」10億5千万円
(8位)「LIFE!」10億1千万円
(9位)「ウルフ・オブ・ウォールストリート」8億5千万円
(10位)「ネイチャー」8億2千万円
何と、上位10本に入る作品で、10億円以下が2本もあったのである。これが、前代未聞というのだ。かつて、10億円以下の作品が上半期の上位10本内に入ったことがあったかどうかは別にして、今年の例が極めて珍しいことを、ここで言っておきたい。
ちなみに昨年は、上半期の10位は14億円の「オブリビオン」。今年の14億円は、「ホビット」の5位だ。この順位は、ただ事ではない。これは、上半期の洋画興行が、「アナと雪」のメガヒットに集約されたことから来た一つの現象とも言えるが、果たして、それだけなのか。
10位以下の「キャプテン・フィリップス」「ロボコップ」「キャプテン・アメリカ~」「ローン・サバイバー」などの大作、話題作が軒並み7億円に届かない現状は、その原因をすべて、「アナと雪」に押し付けるわけにはいかない。洋画実写作品興行の底が、完全に抜け始めているのである。
上半期の上位10本の累計興収約400億円。これは、昨年上半期の273億円を大幅に上回る。数字だけを見れば、洋画のシェアが大きく伸びたのは間違いない。だが、その裏では、いったい何が起こっているのか。
とにかく、個別の数字をじっくり見ていく必要がある。「アナと雪」現象はそれとして、洋画のその素晴らしい面を踏まえて、次に何をなすのか。私も考えるが、そのことを多くの洋画関係者にも求めたいと思う。
(大高宏雄)