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BS放送 “歌謡番組” 花盛り

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BS放送 “歌謡番組” 花盛り

2013年09月17日

 いま、BS放送は “BSニュース戦争” と云われて競争激化の様相を見せているが、実はその一方で “歌謡番組” もしのぎを削っている。とくに今年に入り、民放系BS放送で新番組が続々と誕生、この10月も新たに3番組がスタートするほどで、 “歌謡番組” 花盛りなのだ。

 BS放送は高齢層の視聴者が多く、紀行番組、韓流、プロ野球などのスポーツ、ドキュメンタリーといったジャンルのコンテンツが人気だ。ただ、ややもすると各局似たような番組になりかねない。そのため、いかに差別化、独自色を出すか相当に苦慮している。そうした中、新たに着目されてきているのが “歌謡番組” だ。もちろん、以前より音楽番組はあったが、ここにきて、一層注力している傾向にある。新たなジャンルの開拓と言ってよいかもしれない。歌手の活躍の場も広がり、視聴者は実力派歌手たちの歌唱力を楽しんでいる。特別番組も盛んだ。由紀さおりはその代表的な例で人気が高い。BS‐TBSはコンサートなど特番編成すると高接触率を獲得する。12月6日(金)には由紀さおりと森山良子の夢の共演ライブを2時間特番で放送する特別企画を組んでいる。

 音楽番組は地上波で80年代まで隆盛を極めたが、その後は時代を経るごとに減少、とくに演歌・歌謡番組は民放では見られなくなった。だが近年、少子高齢化にあって、にわかに着目され、その最たるが衛星放送において復活、高齢層の熱い支持を得ているようだ。

 実はこの人気、敏感に感じたのが、CS放送で日本唯一の演歌・歌謡曲専門チャンネル「歌謡ポップスチャンネル」(IMAGICA TV)。演歌・70~80年代アイドル・フォーク&ニューミュージックの名曲をはじめ、演歌最新情報、懐かしの名番組から伝説のコンサートなどを放送している。導入するCATV局も増え、今年2月には視聴可能世帯数が560万世帯を突破するなど、この数年、視聴世帯数を着実に伸ばしている。中高年層のニーズの高さが示された。そうした中、BS各局も “歌謡番組” 注力へと繋がっている。

 BS各局の主なレギュラー歌謡番組は次のとおり。

BS朝日は、10月から2時間番組「日本の名曲 人生、歌がある」(水19時)をスタートさせる。メイン司会は五木ひろし。日本歌謡史に輝く懐かしい名曲と、これから後世に歌い継ぎたい名曲を、 演歌からポップスまでジャンルを問わずに、歌い繋いでいく新しい音楽番組。音楽番組の司会初挑戦という五木ひろしが務めるのも注目。ゲスト自身のヒット曲はじめ、名曲のカバー歌唱からゲスト同士の意外なコラボレーションまで、他番組では見られない豪華なラインナップで毎週2時間届ける。初回の10月2日(水)は、八代亜紀、吉幾三、鳥羽一郎、夏川りみ、神野美伽、石原詢子、田川寿美、クミコ、田川寿美という豪華ゲストで、20曲ほど披露する。八代亜紀カバー集も送る。

BSジャパンは、「徳光和夫の名曲にっぽん」(水21時)を10月スタートさせる。テレビ東京と共同制作。毎週2人の歌手が登場し、その歌手が尊敬する先輩歌手を紹介しつつ、その歌手の楽曲をカバーしたり、登場した歌手が新曲を歌ったり、幅広い層に向けた内容で構成する予定。第1回ゲストは五木ひろしと島津亜矢を予定。

BSフジは、「ザ・スター リバイバル(仮)」(土21時)を10月スタートさせる。昭和の大スターたち当時の映像と、本人をゲストに迎えておくる音楽&トーク番組。フジテレビとフジパシフィック音楽出版の協力を得て、フジテレビが1981年に放送していた音楽番組「ザ・スター」の映像を利用、その出演者の中から厳選したものを、当時のスタッフで制作するという。美空ひばりや森進一ら昭和のスターの映像を紹介し、本人またはゆかりの人がゲストで登場する。
 BSフジでは、今年4月より30分番組「堺でございます」(土23時)を開始している。MC堺正章と女性ゲストが音楽&トーク番組を繰り広げる。女性ゲストのこれまで歩んできた道をたどるとともに音楽とのかかわりを聞く。前後編の2週にわたって放送。これまで浅丘ルリ子、由紀さおりらが登場した。とくにこの番組の魅力はスタジオでの生演奏、一般客も招いたスタジオで、ピアノ兼音楽監督の宮川彬良のもと、ゲストが想いの詰まった曲を披露する。「ゴージャスにショウアップされた作りで、ゲストの歌も生演奏で大人が十分楽しめる」と好評だ。9月21日(土)は有馬稲子がゲストで登場、2週にわたり前後編放送する。

BS日テレは、今年4月より「歌謡プレミアム」(月20時)を開始した。こちらもスタジオ収録を中心に実力派歌手が出演する “本物” の音楽番組を届ける。司会は赤坂泰彦、馬場典子(日本テレビアナウンサー)。9月2日には初回ゲストだった石川さゆりが再登場、2時間スペシャルで放送した。9月16日加藤登紀子が登場。次回9月23日はゴダイゴを送る。
 また、BS日本では、「コロッケ 千夜一夜」(金22時)を今年4月開始した。ものまねのコロッケが店長を務める日本一面白いショーパブという舞台設定で、毎回訪れた実力派の歌手を「笑いでおもてなし」する大人が楽しめる音楽トークバラエティ。9月20日(金)ばんばひろふみ、9月27日(金)石原詢子が登場する。他に、BS日テレでは「BS日本・こころの歌」(月21時)を放送し好評を得ている。

BS‐TBSは、今年4月より「日本名曲アルバム」(金22時)を開始している。日本有数の合唱団による珠玉のハーモニーと、ゲストアーティストが日本の名曲を熱唱する。故郷の風景、季節の移ろい、家族の情愛を表現した童謡・唱歌。今も色あせなることのない、日本の音楽界の名曲の数々を届ける。これまで、沢田知可子、夏川りみ、白鳥英美子、秋川雅史、ビリーバンバン、安田祥子らがゲスト出演している。
 このほかBS‐TBSでは、歌謡番組とは趣向がちがうが、名曲のルーツを辿る音楽番組「SONG TO SOUL」(水22時)を放送している。月1回程度新作放送。これまで、サイモンとガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」、イーグルス「ホテル・カルフォルニア」、カーペンターズ「イエスタデイ・ワンス・モア」などなど洋楽を中心に取り上げているが、中には吉田拓郎「結婚しようよ」、喜納昌吉とチャンプルーズ「花~すべての人の心に花を~」など日本の名曲も取り上げる。高齢層のファンにはたまらない番組だ。次回10月2日はロッド・スチュワート「アイム・セクシー」(再放送)、10月9日ロネッツ「ビー・マイ・ベイビー」(♯78)を送る。

BS11(イレブン)では、「演歌百撰」(日23時)を編成している。毎回ビッグスターをメインゲストに迎え、日本歌謡史に残るオリジナルヒット曲、視聴者からのリクエスト曲、ゲスト歌手の心に残る想い出の曲など紹介。キム・ヨンジャや鳥羽一郎ら多彩なゲストが登場している。

TwellV(トゥエルビ)では、歌謡番組とはちがうが、ミュージシャンのゆかりの地を訪ねる新番組「大槻ケンヂの日本のほほん化計画」(木21時)を10月スタートさせる。第1回目のゲストはムッシュかまやつ。以降ローリー、中村あゆみが登場予定。
以上

(戎 正治)

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