夏興行も、中盤戦である。いわゆるお盆興行に入り、この時期が夏興行のなかでもっとも重要な時期ということになる。つまり、この時期に成績が下がっていないか。あるいは、上がっていくのか。その推移が、その作品の成否を大きく左右するというわけである。
この8月11、12日の2日間で、前週の土日と比べて、もっとも好調な展開を見せたのが、「おおかみこどもの雨と雪」だった。11、12日の2日間で、全国動員17万1702人・興収2億2623万3400円。これは、前週の8月4、5日の106.0%(興収比)だった。
ファミリー層と、10代~30代の男女が目立つ。明らかに、口コミ効果だろう。スタジオジブリ作品の客層と比べると、ファミリー層が少し弱いが、その分、若い層の集客が強い。
微妙な違いがあるとは言え、これほど広範囲な観客の支持と高い動員力を見せるアニメは、まさにスタジオジブリ作品クラスと言っていい。今年の夏興行は、アニメの新たな時代を告げるこの「おおかみこども~」が登場したことが、強く記憶されることになるになるだろう。
「BRAVE HEARTS 海猿」も、絶好調である。この11、12日の2日間では、19万9067人・2億7109万9350円を記録し、週末興行ランキング(興行通信)のトップに返り咲いた。
この成績は、前週4、5日の92.2%(興収比)だった。すでに、累計で417万0961人・52億9374万4850円を記録(8月12日現在)。今年上半期のトップ興収だった「テルマエ・ロマエ」(推定59億円)を、今週から来週にかけて上回る見通しだ。
すでに5週目に入った「ヘルタースケルター」も、意外なほど健闘を続けていることも、付け加えておきたい。先のランキングでは、10位圏外になったとはいえ、8月12日までの30日間で、131万5228人・17億1679万5990円を記録。これから、3億円を積み上げるのは大変ではあるが、20億円突破の可能性が見えたと、ここは言っておこう。ちなみに、東宝配給(共同含む)作品以外の邦画で、今年20億円を超えた作品は1本もない。
いずれにしろ、このお盆興行の推移のなかで、夏興行の一つの形が決定的になっている。洋画は、お盆興行の只中である今日から先行上映開始の「アベンジャーズ」が、その成否を握ることになる。
(大高宏雄)