2012年の正月興行が終わった(正月興行作品の公開は続いているが)。この1月1~5日までを見る限り、昨年の同期間より全体の興収は下がり、作品別の最終興収見通しの累計でも、昨年を下回る見込みだ。毎回言うのも、いささかうんざりしてきたが、昨年の厳しい興行状況は今年も依然として続いている。少し早いが、作品別の大雑把な最終興収の見通しを出してみた。
トップは「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」である。この1月9日現在では、動員318万5642人・興収40億5530万1450円を記録した。最終興収では50億円超えが確実で、55億円近くまで伸ばす可能性もある。2位は「映画 怪物くん」。1月9日現在では、220万9161人・29億5586万3800円。こちらの最終興収は、推定33億円前後あたりか。
3位以下が、混戦である。これは、今後の展開次第ということなのだが、頭だけ少し出ているのが、1月9日現在で111万0450人・14億5523万3000円を記録した「映画 けいおん!」だ。この「けいおん!」を含めた「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ~」「リアル・スティール」の4本が、それぞれ最終10億円台の半ばから後半あたりで推移しそうだ。
これが、上位6作品となる。ちなみに昨年の正月興行は、1位「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」(69億円)、2位「SPACE BATLLESHIP ヤマト」(41億円)、3位「相棒 劇場版II」(32億円)、4位「トロン:レガシー」(21億円)、5位「劇場版イナズマイレブン~」(17億7千万円)。この累計が約180億円。今年の上位5作品の累計は、当然昨年を下回る。
さて、問題点は多い。多くの作品が目標を下回ったからだ。「ミッション~」でさえ、もっと上の成績が見込まれていた。なかで見込み違いの筆頭は、「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密」だろう。最終で12億円前後というから、大変な誤算だ。モーション・キャプチャーが受け入れらない。題材の知名度が低いなど、理由はいろいろあり、そのどれもが当たっている。ただここでは一言、大いなる技術革新を果たした “映像の冒険” が、映画の娯楽性とは認識されなかったとしか言いようがない。
健闘した作品の筆頭は、137館という限定公開だった「映画 けいおん!」だろう。同じく限定公開のアニメであった「サマーウォーズ」(09年、16億5千万円)と同格の興行になったことは、アニメの可能性を大きく示した。個人的には健闘したとはいえ、「山本五十六」に20億円の声を聞きたかった。
(大高宏雄)