放送連動の復興支援活発化
2011年04月28日
放送と連動した被災地の復興支援が活発化している。これまでも多くの様々な活動が行われているが、最近では日米の放送局共同の活動や、有料CS放送の復興リポート番組の無料開放、地元のサッカー戦パブリックビューイング入場無料といったものも出てきた。
有料CS放送の無料開放では、ニュースチャンネルのTBSニュースバードが震災後いち早く無料開放して震災報道を送り届けたが、今回、朝日ニュースターが「立ち上がろう!宮城のチカラ」という番組を5月3日から夜11時台に放送し、スカパー!とスカパー!e2において無料開放するという。被災地の復興への取り組みをリポートした番組だが、実は、被災地であるテレビ朝日系列の東日本放送が大震災後からスタートさせた番組。一歩一歩復興へと踏み出した人たちや団体、街の様子を紹介している。地元だけでなく、全国の視聴者に見てもらおうというもので、朝日ニュースターが全国放送することを決めた。
入場無料のパブリックビューイングは、ワーナー・マイカルとスカパーJSATが、仙台市を本拠地とするサッカークラブ「ベガルタ仙台」のアウェー戦2試合を、ワーナー・マイカル・シネマズ名取エアリとワーナー・マイカル・シネマズ新石巻の会場で行う。5月7日のセレッソ大阪戦と5月22日のモンテディオ山形戦をスカパー!の放送映像を使い生中継する。Jスポーツが映像協力する。スカパーJSATでは、4月29日のプロ野球「東北楽天×オリックス戦」(スカイ・A、ほか)とJリーグ「ベガルタ仙台×浦和レッズ戦」(スカチャン)も無料で生中継する。いずれも地元のファンに元気とパワーを送り届けようというものだ。
このほか、被災地区の現状を日本全国に配信しようと、radikoが被災地のラジオ局の放送を全国配信するなど、様々なメディアで取り組まれている。
一方、海外と連携した取り組みでは、TBSと全米ケーブル局G4が、赤十字社を通じた日米共同の支援活動を行うことになった。G4はTBSの人気番組「SASUKE」をリメイクした米国版SASUKE「ニンジャ・ウォリアー」(NW)を放送しており、両局は関係が深い。番組は米国で圧倒的知名度を誇る「スタートレック」や「CSI:科学捜査班」と並ぶほどG4の3大看板番組となっている。今回、G4は4月29日から5月1日に、過去に放送した「SASUKE」を集中的に放送、50時間を超えるマラソン放送を行い、これを皮切りにG4の番組HPなどでの義援金募集や、NWのファイナリスト(勝ち残った挑戦者たち)とともに “日本に行く権利” を含むチャリティー・オークションを行う。義援金とオークションの落札額は全額赤十字社に寄付する。こうした、日本の番組コンテンツを通じた日米の放送局共同の復興支援活動は前例がないという。
電通総研は震災後1ヵ月の生活者意識調査結果をまとめた。それによると63・6%の人が自粛し、消費マインドは減速しているという。復興にはこの自粛ムード緩和が一つのカギ。それには、やはり「原発問題収束」「電力の安定供給」「東北での操業再開」がきっかけにあると。ただ、消費マインドはリーマンショック直後と比べるとまだ高い水準にあるという。活発化している復興支援活動。放送はじめエンターテイメント業界が復興へのムード作りに大きな役割を果たしており、早期の経済復興にも繋がってほしい。
(戎 正治)