◎「ハリポタ」新作、3D版上映中止の緊急事態勃発
緊急事態が勃発した。11月19日から公開が予定されているWB「ハリー・ポッターと死の秘宝」の3D版上映が、急きょ中止になったのである。10月9日の土曜日(日本時間)に、ワーナー米本社がリリースを出し、その情報が世界を駆け巡った。日本の支社には、同じく9日にその旨の連絡があったという。
簡単に言えば、3D版の製作が間に合わず、それを理由に作品の公開延期をしたくない製作、配給(米本社)双方が、3D版の公開を中止する手段をとったのである。この作品は、シリーズ最終作ということもあってパート1とパート2に分かれるが、パート1のみが3D版は中止となり、2D版で上映。パート2は予定どおり3D版及び2D版の上映が行われるという。全2作の公開にあたり、それぞれバージョンが違う上映形態になるという前代未聞の事態となるわけだ。
今回、ネットで中止の情報が流れ、3連休ということもあって、多くの劇場は配給側から何の通達も得ていなかった。だからこの3日間、予告編も含めて「ハリー~」の一切の宣伝から、“3D”という名称ははずされなかった。観客側から、どの程度の問い合わせがあったかは知らないが、これはちょっとまずいと思う。ネットで中止情報が流れ、この情報を劇場側が何も把握していないというのは、どうだろう。危機管理能力が、今強く言われるが、今回のような米国主導の情報発信のときが、一番厄介である。そうした情報の一方的な伝達に、日本の当事者はどう対処していくのか。はっきり言えば、ここは腕の見せどころではないのかと思う。遅すぎるということはない。
今回、3D版を前提にして前売り券を購入している人たちも多い。払い戻しといった事態も、当然想定しなくてはならない。それ以上に、3D版の上映を大きく打ち出したことから、それを期待した人たちが、かなりの数に上るだろう。それらもろもろ、一つ一つ丁寧な説明、対処の仕方が必要となろう。今後、しっかりと、その推移を見ていきたいと思う。今後も、こうしたことは、起こりえることだからである。
(大高宏雄)