特集:独自な地位と役割果たしてきたエンジェル大賞
2007年09月19日
日本映画史の新たなページをめくる 1作以外は全てオリジナル
花を開かせて欲しい
日本映画史の新たなページをめくる独自な地位と役割果たしてきたエンジェル大賞↑前列左から羽佐間氏、角川氏、原氏、
後列左から第9回受賞者の森川氏、掛尾氏、村山氏、林氏、牧野氏、櫻井氏、伊藤氏
2002年7月に、業界及び他業界からの参入や新人を含めたインディペンデント・フィルムメーカーを支援する目的で、角川出版映像事業振興基金信託(以下、角川基金)によって創設され、過去5年にわたり「企画開発を支援する賞」という独自な地位と役割を果たしてきた「日本映画エンジェル大賞」(協賛:財団法人角川文化振興財団)。
現在までに累計で37作が受賞し、既に公開された4作品は、キネマ旬報ベスト・テンを始め数々の賞の受賞や、カンヌ国際映画祭・批評家週間出品など高い評価を受けてきた。また、現在制作中・公開待機中の作品も4作品、クランクイン作品も1作品あり、満5年を経て、日本映画史に貢献してきた貴重な賞である。
1作以外は全てオリジナル 第9回の受賞者は、伊藤秀隆(監督)「Last Smile」、櫻井徹(プロデューサー、以下P)「跳べ!サトルッツ!」、牧野圭祐(脚本家)「マッハ1/4」(プロデューサー:林哲次)、村山達哉(P)「ジェネレーション・フォーティーズ(仮)」(共同P:掛尾良夫)、そして、森川美幸(P)「ガン漂流」の各氏。応募総数82作品(アニメ5作品、実写77作品)の中から選ばれ、入選の賞金は50万円。上限250万円の企画開発費が開発スケジュールに応じて出資される。
第9回全体の応募作品の傾向としては、エンジェル大賞は新人賞ではなく、インディペンデント・フィルムメーカーの支援のための賞ということが業界にも浸透してきているようで、映像系の中堅企業の社員からの応募が増えた。また、時代を反映してか、自殺やいじめなどを扱った作品が多く見られたのも特徴のひとつ。今回受賞した作品は、1作以外は全てオリジナル作品で、第9回になって初めてドキュメンタリー作品が選ばれたのも注目される。受賞者もバラエティに富んだ経験を持つ面々が選ばれた。(下表参照)