大逃げスタイルでファンを沸かせた個性派、シルポートの引退が決まりました。放牧先で骨膜炎を発症し、治療に時間がかかるため復帰を断念したようです。
昨今の競馬ではすっかりいなくなってしまった「大逃げ馬」。どの馬も馬群の中で折り合いに専念するお利口なレースが多い中で、シルポートだけは光っていました。
決してテンの速い馬ではないですが、持続的に速いラップを刻み、いつの間にか後続に大差をつけている。あとは直線でどれだけ粘れるか…。シルポートが出走しているレースは、あの馬の馬券を買っている時も、買っていない時も、3コーナーから直線半ばにかけてハラハラドキドキさせられました。
思い出に残っているのは、シルポートが4歳(2009年)の夏。小倉の博多ステークスに登場し、私もシルポートの馬券を買っていました。しかしあえなく惨敗。レース後、鞍上の浜中騎手が「コーナーの多いレースはこの馬には合わない」と話していました。
「なるほど…ではコーナーの少ない競馬場に出てきた時は買いだな…」と企んでいたところ、次走は新潟の天の川ステークスに出走。コーナーは2つだけなので、「しめた!」とシルポートの馬券をたっぷり買ったわけです。しかし今回もボロ負け。そして、この時乗っていた小林騎手のレース後コメントがこちら。
「コーナーの少ないレースは合わない」
もうひっくり返りそうになりました。声を大きくして言いたい。「どっちやねん!」と。
この時、騎手のコメントもアテにならんなと勉強したわけでした。まあ結局どっちが正しかったのか、いまだにわかりませんが。
当時は、あとでこんな凄い馬になるとは想像していなかったですが、いつの間にか重賞3勝の立派な名馬に。マイル~中距離路線で欠かすことのできない存在となっていました。
個人的に、ベストレースは今年の中山記念。3着と惜敗したわけですが、大きなリードを保って最後の直線に入り、ゴール前ギリギリまで驚異の粘り腰。最後の最後でナカヤマナイトとダイワファルコンに交わされましたが、「道中大差リード」→「ゴール前でガソリンが尽き大接戦」という手に汗握る展開は、大逃げ馬の魅力が最高に生かされたレースだと思います。
結局G1は勝てなかったものの、種牡馬入りが決定した模様。今後は産駒からシルポートのような個性派が出てくることを期待したいです。
さて最後に今週末行われるマイルチャンピオンシップの予想。大混戦なのでまだ決めかねていますが、気になっているのはドナウブルー。何やら陣営から「これまでで1番の状態」という強気コメントが飛び出しているとか。昨年3着以上の状態というなら、もちろんそれ以上を期待してもいいでしょう。