昨日の菊花賞はエピファネイアの完勝。前回の当欄で、このレースが福永祐一騎手の今後のターニングポイントとなると書きましたが、見事にきっちり勝ってみせました。
レースを振り返ると、エピファはスタートから絶好の3番手。序盤こそ少し力んで走っていましたが、2周目の向正面ではすっかり落ち着き、ノビノビ走っていました。もう、この時点で大半の人はエピファの勝利を確信したのではないでしょうか。最後の直線はご存じの通り、後続を5馬身も突き放す独走劇。「強い!」の一言です。
馬群の後ろで折り合いをつけるのではなく、しっかり先行馬を射程圏に捉え、直線では早めに先頭に立ち、そのまま後続との差を広げる。これまで主要G1では甘かった福永騎手ですが、この菊花賞は何から何まで完璧。5レースで落馬した時は「おいおい大丈夫かよ」という感じでしたが、ご愛嬌でしたね。本人も言っていますが、騎手としての階段を1つ上った感じがします。
しかし、エピファの競馬は美しかった。「これぞ王者!」というレースぶりで、展開に左右されない、強い馬の強い競馬でした。サンデーサイレンス系統の馬が主流になり、「後方待機の直線一気」の競馬が主流になって以降、実はなかなか見られない勝ち方ではないでしょうか。
個人的には、独走するエピファネイアの姿がビワハヤヒデと重なりました。気になってビワの菊花賞(93年)を見返してみたのですが、やっぱりそっくり。レースぶりもさることながら、2着につけた着差が5馬身差というのも同じ。ちなみに、春の皐月賞とダービーでともに2着だった点も一緒です。これは名馬誕生の予感…。
ただ、大きく違う点は、ビワは菊花賞でウイニングチケット、ナリタタイシンという強いライバルを破っていること。エピファのライバルはキズナとロゴタイプですが、どちらも不出走です。この決着は、たぶん来年になることでしょう。春の時点でエピファは両馬に敗れましたが、折り合いに難がある中で接戦に持ち込んでいました。この点が解消された今、一気に世代トップに上り詰めてもおかしくない、と思わせる強さでした。
オルフェーヴルが今年で引退表明し、少し寂しい気持ちもありましたが、なんのなんの。来年はエピファ、キズナ、ロゴタイプの3強対決で大いに盛り上がりそうです。