オルフェーヴルとキズナが挑戦した凱旋門賞は、ご存じの通り地元フランスのトレヴに完敗。残念な結果でしたが、その回顧をしてみようと思います。
まずは2着に敗れたオルフェーヴル。スタート後、すぐに馬群に包まれ、多少窮屈そうな場面もありました。少し掛かり気味な雰囲気もありましたし、直線入口でも一瞬仕掛けが遅れています。ただ、どれも特に問題のないレベルに見えました。
それよりも、4コーナーですでにスミヨン騎手の手が動いていた点。これが意外というか、「あれ?」という印象でした。オルフェが勝つ時は、抑えきれないぐらいの手応えで、爆発的な加速力を武器に、一気に先頭集団を飲み込むのが特徴。昨年の凱旋門賞(2着)にしても、最後方に近い位置から馬なりで先頭に並びかけています。
でも今年は違いました。前でトレヴが手応え抜群に「おいでおいで」としているのに、どうにもオルフェの反応は鈍い。正直、直線に入ってすぐに「厳しいな」という感じを受けました。
一方の4着キズナ。オルフェと違い、非常にスムーズなレースをしていました。
ただ、終始馬群の外々を回る展開でしたし、4コーナーでは勝負に出て一気に先頭集団に並びかけました。もう、この時点でかなり脚を使っていると思います。それでも、一気にトレヴまでマクりきってしまえば面白かったのですが、結局並びかけるまでも至らなかった。ここからは、粘っこく伸びるのが欧州馬の凄さであり、一気に勝負を決められないと厳しいことは、日本馬の欧州遠征の歴史が物語っています。
昨年、オルフェが負けた際は、「まともなら勝てたのに…」「なぜ!?」という、悔しいという言葉だけでは言い表せないモヤモヤした気分でしたが、今年はレース中に一度も「勝てるぞ!」という場面が無かったので、「がっくり」が大きかった。あと何回、こういう思いをしないと勝てないんだろう、と気が遠くなる感じです。
ただ、エルコンドルパサーで2着だった時は「大健闘!」という雰囲気だったのに対し、今は2着、4着でもガッカリするくらいですから、それだけ日本競馬のレベルが上がっているという証拠でしょう。
オルフェは今年で引退予定。昨年のリベンジは果たせなかったですが、まずはお疲れさまです。日本でのラストランに期待。そしてキズナはよく頑張ってくれました。
終わったばかりで来年の話もなんですが、次はゴールドシップにもぜひ挑戦してもらいたい。凱旋門賞の日の夕方、ゴールドは京都大賞典に登場し5着でした。スタートから騎手が激しく手綱をしごいて先団に取りつく姿は、「ズブいな~」の一言。日本の高速馬場は合わないイメージです。同じ2400mでも京都大賞典は2分22秒9の決着。凱旋門賞は2分32秒0。10秒近い差があります。このロンシャン競馬場の重たい馬場は、パワータイプのゴールドにピッタリの印象があります。オルフェが負けた後、こう思った人も多いんじゃないでしょうか。