先週末は『終戦のエンペラー』が公開され、ヒットスタートを切りました。ジブリ新作『風立ちぬ』も依然好調に推移し、ピクサー新作『モンスターズ・ユニバーシティ』も間もなく興収50億円突破の大ヒットとなっています。
さて、そんな夏休み映画真っ盛りの中で、アクション大作として孤軍奮闘している『ワイルド・スピード EURO MISSION』を取り上げたいと思います。
新作がどんどん公開されるので、少しずつ興収ランキングを落としている本作ですが、すでに17億円を突破。この手の映画としては動員の息も長く、20億円も視野に入っています。
そして、この数字はすでに『ワイルド・スピード』シリーズの最高記録なんです。これまでは、前作『~MEGA MAX』の14億円が最高でした。そして4作目までは一度も10億円を超えていません。
シリーズものの映画は、新しい作品が出るごとに成績を落とすのが一般的ですが、『ワイルド・スピード』はすでにこれが6作目にも関わらず、急速に人気を拡大しているから凄い。1作目は01年公開でしたが、それから12年も経った今グングン伸びている、とても珍しい(ほぼ初めて?の)シリーズと言えるでしょう。
なんでこんなにヒットしているのか?
1番の理由は、5作目から作風がガラッと変わったことが大きいと見ています。
4作目までは、多様なスポーツカーの走りをじっくりと見せるのがシリーズの特徴だったと思います。このシリーズはDVDもバカ売れ、レンタルも凄い売上を誇り、特に車社会のローカルで成績が抜群。「車好き」の人から熱い支持を得てきた作品です。
一方で、車に興味のない人には、少しとっつきにくい印象がありました。かくいう私がその一人で、アクション映画は大好きなのに、今一つ『ワイルド・スピード』シリーズの魅力がわからない…。
ところが、5作目『~MEGA MAX』は、ひたすら車のクラッシュクラッシュ。橋から車がばんばん吹っ飛び、スポーツカーの知識がない私のような人でもスカッと楽しめる、一般ウケするアクション大作にシフトしたような印象があります。
この形は最新作『~EURO MISSION』でも踏襲。戦車でどんどん車を踏みつけ、空港で飛行機と並走しながら大迫力のアクション。前回、今回は、個人的にも本当に面白かったです。世界的にもどんどん興行成績を伸ばしているので、おそらく、皆同じ印象なのでしょう。
また、最近は映画の最後に、次回作に繋がる重要なシーンをちょこっと挟む工夫をし、次への期待を膨らませていること。そして、きっちり2年に1度のペースで公開し、熱を冷まさせないこと。一時期は迷走したキャスティングも、今ではヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカーをはじめオリジナルキャストで固定していること。これらがうまく絡み合い、新旧ファンの取り込みに成功しているのだと思います。
ちなみに、『~EURO MISSION』の最後でも、非常に気になる1シーンが挟まれていました。あんな人が出てきたら、次も観ないわけにはいかんでしょ!
というわけで、第7弾もまた数字を伸ばすんじゃないかと予想しています。