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日本ダービー、4強じゃなくて「1強」です (vol.22)

平池記者の「競馬ときどき映画」

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日本ダービー、4強じゃなくて「1強」です (vol.22)

2013年05月24日

 「ダービー馬のオーナーになることは、一国の宰相になるより難しい」

 イギリスのチャーチル首相の名言(本当は言ってないらしいですが)です。首相が毎年変わる近年の日本の場合、本当にそのような気がします。とにかく全てのホースマンが目指すのがダービー制覇であり、競馬ファンもダービーに駒を進める馬を見つけるために日々競馬を見ている、と言っても過言ではありません。

 さて、その日本ダービーがいよいよ明後日に迫りました。今年は第80回記念というもあり、JRAが異様に大きな宣伝をしているので、普段競馬をしない人も興味を持たれていることでしょう。

 今年の注目は「4強」です。皐月賞1~3着のロゴタイプ、エピファネイア、コディーノに加え、別路線でド派手な連勝を飾ってきたキズナを加えた4頭が有力とされています。出走馬は全部で18頭ですが、順当であれば、この4頭の中から勝ち馬が出ると見られています。

 私も現時点で、まだどの馬券を買うのか固まっていないのですが、本命は決めました。

 4強の取捨を明確にしながら、その本命を挙げたいと思います。


 エピファネイアは、以前から折り合いが不安視されていました。皐月賞はハイペースだったにも関わらず、やはり道中は力んで走り、最後はロゴにねじ伏せられた形です。距離が伸びて、ぺースも落ち着くと考えられるダービーでは、より折り合いは難しくなるでしょう。
 あと、エピファネイアの競馬を見ていて感じるのが、意外と使える脚が短い。おそらく世代No.1の「一瞬のキレ」がある一方で、意外と後続を突き放せない。どちらかと言えば、直線の長い東京よりも、小回り向きなのではないかと思います。
 加えて、最終追い切り前に少し脚部に不安が出た模様。ダービーは、馬の状態を究極にまで持っていかないと勝てません。その点、軽い最終追い切りに変更せざるを得なかったのは、マイナスに違いません。
 以上のことから、「消し」でもいいかなと考えています。


 次にキズナです。もしかしたら1番人気になるんじゃないか?というくらい、スポーツ紙では最も大きく取り上げられています。
 事実、近二走の内容は圧巻。いずれもほぼ最後方でレースを進めながら、直線では他の馬が止まって見えるような鬼脚を繰り出して快勝。さすがティープインパクトの子と思わせる大物感を漂わせています。
 ただ、このダービーに関しては、個人的には少し評価を下げます。理由は、その脚質です。
 前走の京都新聞杯。鮮やかに差し切ったものの、個人的にゴール直後の第一印象は「同じ競馬をするならダービーは厳しいな」でした。
 相手は決して強いメンバーではなかった。ダービーを勝つ馬なら、ここは「圧勝」じゃなければいけないと思います。例えば、00年に京都新聞杯からダービーを勝ったアグネスフライトは、ここでタップダンスシチーらを3馬身もちぎって圧勝し、ダービーに駒を進めました。
 キズナの場合、その差は1馬身半。ゴール前は余裕があったようにも見えましたが、本番ではロゴタイプ、エピファネイア、コディーノら超強力馬が前でGⅠ級の粘りを見せます。その時、これまでのような直線一気だけの競馬で、簡単に差し切ることができるのか?ということです。
 実力的には1、2を争う馬だと思いますが、今回のダービーでは、4強中3番手の評価とします。馬券的には「押さえ」程度。


 コディーノは、これまでのレースを見る限り、4強の中では最もダービーは厳しいと思っていました。レースを重ねるごとに折り合いが難しくなってきていますし、3連敗が示すように、少しずつレースぶりに迫力がなくなってきています。
 しかし、鞍上が横山典騎手からウィリアムズ騎手に替わり、考えが変わりました。ガッツリ馬を制御し、なおかつ積極的な競馬を見せてくれるウィリアムズ騎手。この人なら、コディーノの新たな一面を引き出してくれるのではないか、という期待です。
 もともと「ここぞ」という時に勝負強さを見せる騎手。ダービーという大舞台でこそ頼りになります。
 コディーノも、もともとは世代No.1の評価だった馬。下ろされてしまった横山騎手も「凄い馬」といまだに高い評価を与えています。ようは、この力を発揮させることができるかどうか。負けた3戦は、横山騎手との相性が悪かっただけなのか、それとも単に実力なのか。それはレースが終わってみないとわかりませんが、この乗り替わりに託してみたいと思います。4強中2番手の評価とします。馬券的には「対抗」か、対抗でなくても厚めに買いです。


 というわけで、本命には皐月賞馬のロゴタイプを挙げます。正直、「なんでこんなに人気ないの?」という印象。全ての予備知識をゼロにして、客観的に新聞の戦績欄を見てみてください。「4強」なんてとんでもない。ロゴの「1強」ですよ。
 朝日杯でコディーノを破り、スプリングSで新興勢力を返り討ちにし、皐月賞でも初対決のエピファネイアに完勝。しかも、毎回レースぶりが強くなっています。特にここ二走は、スッと好位に取りついて、4コーナーでは外に持ち出して先頭集団を射程圏に捉え、直線も力強く抜け出す、「ザ・王者」の競馬。圧倒的な力差と言っても良い気がします。
 例年なら、単勝1倍台前半の圧倒的な支持を受ける馬です。ところが、血統的に「距離が不安」とされる点と、キズナの評価急上昇により、ロゴの単勝は2倍後半~3倍台と予想されます。めちゃくちゃおいしい…。メイショウサムソンの時を思い出します。(あの時は単勝3.8倍!)
 ダービーは「強い馬」が勝つレースです。ロゴタイプが皐月賞のゴール坂を1着で駆け抜けた直後、皆さんはどんな印象を持たれたでしょうか?
 「強い…」ではなかったでしょうか。私はそうでした。その素直な印象を、今回の馬券にもそのまま反映させたいと思います。「血統の不安」ですが、父親のローエングリンは確かに1600m~1800mが守備範囲でした。ただ、おそらくそれは前向き過ぎる気性のせい。ローエン自体は父シングスピール、母カーリングという「モロ2400m」の血統をしており、本質的には十分2400mをこなせる馬だったと思います。
 唯一、レコード決着だった皐月賞の反動が気になりましたが、中間の様子を見てみるとその心配もなさそう。鞍上はC・デムーロ騎手に乗り替わりですが、彼もスプリングSでロゴに乗っているので心配はいらないでしょう。
 枠順も4枠8番と絶好。ロゴの本命でまず間違いないかと思います。馬券的には「頭」です。



平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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