立教大学の学生が撮ったドキュメンタリーで、配給・宣伝も同校学生らが手がける映画「ちづる」が、10月29日(土)より東京のポレポレ東中野、神奈川の横浜ニューテアトルで封切られ、両劇場ともに立ち見回が出るほど盛況のスタートを切った。監督自らが知的障害者の妹にカメラを向け家族の絆を切り取った感動作に対し観客の反応も良く「ぴあ満足度ランキング」で1位を獲得。「この調子で、ポレポレ東中野の興収記録を狙う」と学生たちが燃えている。
同作は、立教大の現代心理学部映像身体学科2010年度卒業制作として、当時4年生だった赤崎正和さんが発表したもの。重度の知的障害と自閉症をもった妹・千鶴さんを1年間にわたって追いかけた。
赤崎さんは、最も身近な存在でありながら正面から向き合うことのできなかった妹とカメラを通して対話するにつれ、やがて母や亡き父を巻き込み、また自分自身も被写体としてさらけ出し、次第に家族と新しい関係を築いてゆく。浮かび上がる優しい家族の輪郭。見終わった観客の顔を、不思議と笑顔にさせる。
立教大から生まれた良質の学生映画。試写の段階で「この作品は学内で終わらせてはいけない。より多くの人に見てもらわなければ」と有志が立ち上がり、卒業制作がロードショーされるという異例の展開に至った。学生約15名が「ちづる」上映委員会を結成。同委員会が配給・宣伝に関する一切の業務を手がけている。
学生たちの奮闘により、大手新聞社やNHKをはじめとしたテレビ局からも取材を受けるなど注目は高まるばかり。札幌、大阪、福岡、京都と全国公開も決まった。さらに各地で粘り強く自主上映会を行っていく。
監督の赤崎さんは、「ちづる」の制作をきっかけに都内の知的障害者福祉施設に就職し現在も勤務中。赤崎さんの強い希望もあり、映画の収益は東日本大震災で被災した東北地方の障害者福祉施設へ全額寄付される予定だ。