「C&Iエンタテインメント(株)」に社名変更し事業を継続
親和性の高いCCCは、今後の成長により適したパートナー
「黄泉がえり」、「ジョゼと虎と魚たち」、「NANA」など、数々のヒット作の制作を手掛けてきた㈱IMJエンタテインメント(IMJE)が、「C&Iエンタテインメント㈱」(C&I)と社名を変更する。
これは㈱アイ・エム・ジェイ(IMJ)がIMJE株式の4867株を、カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱(CCC)へ譲渡(5/31)したことによるもので、IMJEはCCCの子会社となり、新たなスタートを切る。
C&I代表取締役社長就任予定で、久保田修名義で映画プロデューサーとして活躍する内藤修氏に、今回の経緯や今後の展開などについて話を聞いた―。(インタビュー:和田隆)
―CCCの傘下となることの大きな要因はなんだったのでしょう。
久保田 03年の設立から8年、IMJグループと連携し、相乗効果を生み出すべく営業活動をしてきたのですが、特にここ数年は事業シナジーが見出せずにいました。そんな中で、IMJグループの今後の戦略として、主力事業であるデジタルマーケティング事業へ注力していくことになり、当社の今後の成長により適したパートナー企業であると判断したCCCへの株式譲渡に至りました。
元々、IMJの株主であったCCCとは関係が深く、TSUTAYAのフランチャイズ展開を行うなど、国内最大級のエンタテインメント・コンテンツ流通企業として、長年の経験と実績を有している同社とは親和性が高かったことが大きいと思います。
“キアロスクーロ”名に戻り2レーベル維持
―今後、CCCが映像事業を改めて強化していくということなのですか。
久保田 その辺の展開については今後話し合っていくことだと思います。当社としては、当面は大株主が変わるだけで、事業展開としてはこれまでと変わりません。社名が変わり、これまでのIMJEというレーベル名を以前使用していた「キアロスクーロ」に戻しますが、もう一つのレーベル、STUDIO SWANとの2レーベルを維持し、㈱ダブと08年に設立した制作会社「㈱スモーク」も子会社として継続していきます。
経営陣としては現状の私、STUDIO SWANを率いる松橋真三、IMJの堀口雄二(非常勤)に加え、CCCから4名が取締役(非常勤)として就任する予定です。なお、社名及び新経営陣については、6月下旬に開催する株主総会にて決議される予定です。
―ここ数年の経営成績をみると、赤字,黒字の繰り返しとなっていますが、最近の苦しい状況に加え、今秋公開予定だった戦国エンタテインメント超大作「のぼうの城」の公開延期も影響したのでしょうか。
久保田 以前のような大ヒット作に恵まれなかったというのは大きいですね。メジャー系作品、ミニシアター系の作品とも以前はしっかりと儲けを出していたのですが、ここ数年は、特にミニシアター系のマーケットが消失してしまったように思います。
前期の受託制作事業は概ね順調に推移したのですが、昨年4月、5月に劇場公開した作品の興収が振るわず、出資ロイヤリティ収入、配収が計画を下回ってしまいました。
もちろん市場の変化だけが要因ではなく、改めて企画開発、作品作りについても考え直さなければならない時期に来ているということではないでしょうか。「のぼうの城」の公開延期は致し方ありませんが、非常に素晴らしい仕上がりになってきていますので、犬童一心監督、樋口真嗣監督の代表作として、来年秋に胸を張って公開できると思います。
配給事業からは撤退
―配給事業は今後も継続していくのですか。
久保田 配給・宣伝会社のマジックアワーへの出資分は10%残っていますが、年内を目途に自社の配給事業からは撤退する方向です。その他のドラマ、バラエティ、ミュージックビデオ、CM、オリジナルDVDの各プロデュース、映像クリエイターのエージェントといった業務は継続してやっていきます。
―新作の制作予定は。
久保田 タイトルはまだ発表できないのですが、キアロスクーロレーベルで、TBSさん幹事作品を近く1本クランクイン予定です。STUDIO SWANレーベルでは6月4日に「パラダイス・キス」(配給:ワーナー・ブラザース映画)が公開されましたが、今夏に大作を制作予定となっています。 (了)